今回は建設業の許可区分(一般建設業と特定建設業)についてお話します。
建設業の許可は、一般建設業と特定建設業に区分されています(同一業種について、一般と特定の両方の許可は受けられません。別業種であれば可能です)。
特定建設業の制度は、下請負人の保護などのために設けられています。
さて、建設業の許可を取得するためには、建設業法第7条に規定する「四つの許可要件」を備えていること及び同法第8条に規定する「欠格要件」に該当しないことが必要です。
その「四つの要件」とは…
一、経営業務の管理責任者(法第7条第1号)
建設業の経営は、一つの工事の受注ごとにその工事の内容に応じて資金の調達、資材の購入、技術者及び労働者の配置、下請負人の選定及び下請契約の締結を行わなければならず、また、工事の目的物の完成まで、その内容に応じた施工管理を適切に行うことが必要であるという、他の産業の経営とは著しく異なった特徴を有しており、適正な建設業の経営を行うことを期待するためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低でも1人は必要であると判断され、この要件が定められています。具体的な要件は、以下のとおりであり、許可を受けようとする者が法人である場合には常勤の役員のうちの1人が次のいずれかに該当することが必要です。
(イ)許可を受けようとする建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
(ロ)許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し、7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
(ハ)許可を受けようとする建設業に関し、7年以上経営業務の管理責任者に 準ずる地位(使用者が法人である場合においては役員に次ぐ職制上の地位をいい、個人である場合においては本人に次ぐ地位をいう。)にあって、経営業務を補佐した経験を有していること。
二、専任技術者(法第7条第2号、同法第15条第2号)
建設工事に関する請負契約の適正な締結・履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要となります。
見積、入札又は請負契約締結等の建設業に関する営業は各営業所で行われることから、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(=専任技術者)を設置することが必要です。
この専任技術者の設置については、経営業務の管理責任者と同様、許可要件の1つであるため、あらかじめ届出を行った建設業法上の「営業所」に常勤であることが必要で、また許可を取得したのち、専任技術者が不在等となった場合は許可の取り消しの対象になります(経営業務の管理責任者も同様)。
また、「一般建設業」と「特定建設業」の区分や許可を受けようとする建設業の種類により必要な資格等が異なります。
三、誠実性(法第7条第3号)
請負契約の締結やその履行に際して不正(例えば詐欺、脅迫、横領又は文書偽造等)又は不誠実(例えば工事の内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等についての契約違反)な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。これは許可の対象となる法人についてはもちろんのこと、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等についても同様です。
また、建設業の許可を受けようとする者(法人の場合、法人の非常勤役員を含む役員並びに支配人及び営業所の代表者。)が暴力団の構成員である場合には、基準に適合しないものとして取り扱かわれることとなっています。
四、財産的基礎等(法第7条第4号、法第15条第3号)
建設業の営業を行うには、資材の購入や労働者の確保等、一定の準備資金が必要となります。また、建設工事の適正な施工を確保するためには、その営業にあたってある程度の資金を確保していることが必要です。したがって、本基準は許可を受けるべき建設業者としての最低限度の経済的な水準を求めたものです。
特に特定建設業では多くの下請負人を使用して工事を施工することが一般的であること等の理由から一般建設業よりも条件を加重しています。
「欠格要件」については次回お話します。お楽しみに。
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