【争続防止策】遺言書があればよかったケース2選

争続イメージ

偉人アルフレッド・ノーベルといえば、何を思い浮かべますか?
やはり、「ノーベル賞」のイメージが強いのではないでしょうか?
実はこれには「遺言」が関係しています。

ノーベルはダイナマイトの発明者として知られ、その開発と生産により多大な財を成しました。
しかし、ダイナマイトが兵器として利用され、おびただしい死者を出していたことから批判も浴び、晩年は「死の商人」などと称されノーベルを悩ませました。
ダイナマイト開発への罪滅ぼしの意識もあったのでしょう。

ノーベルは遺言で

「全ての換金可能な財産は基金として安全に運用され、毎年の利子について、前年に人類のために最大たる貢献をした人々に分配されるものとする」

…と書き遺しました。

ノーベルはこの遺言を残した1895年の翌年1896年に亡くなりました。
彼の遺志はきちんと受け継がれ、ノーベル賞は1901年から始まり、現在まで続いています。

「遺言」を活用することによって、避けられることは「争族」だけではありません。残されたあとの人々に与えるイメージや意識も変えるのです。

これまでに「遺言書があればよかった…」と経験したケースをいくつかご紹介します。

ご家族に「遺言書を書いておいてくれれば良かったのに…」と思われないように、お元気なうちに準備をしましょう。

ノーベル賞イメージ

ケース1

父が亡くなり(母はすでに他界)、子供が2人。そのうち1人は先に死亡、その子が2人いる。

【長男】 父と同居していた(土地建物ともに父名義)

【次男】 自宅購入時にお金を父から出してもらう。すでに他界し、現在は子供が二人

 

父は「自宅は同居していた長男に、次男にはすでに資産を贈与済だ」ということを生前に話しており、その通りに手続きを進めようとした長男。

そこで、次男の子供2人が異議を唱えます。

「自宅購入時の贈与なんて知らない、法定相続分ほしい」と。

財産は不動産のみ、現金はほとんどありません。
父が次男に贈与したという記録はなく、事情を知っていた父も次男も、もういません。

結局調停になり、次男の子供に代償金を500万円ずつ支払うことに。

他人事ではないケースです。この場合、どうすればよかったのでしょうか?

① 遺言書を残す

遺言書があればある程度対策にはなり、父が次男贈与したこと(特別受益があった)を記載しておけます。調停になっても遺留分の請求(法定相続分の半分)の主張のみになり、また、特別受益も認定されやすくなります。

② 贈与契約書を作っておく

当時の贈与契約書があれば、たとえ調停になっても特別受益の認定をもらえました。
親しい中でもきちんと書面を残しておくことは大切です。

相続イメージ

ケース2

子供のいないご夫婦で、ご主人が亡くなる。

奥様とご主人の兄弟(6人うち3人すでに他界、その子供が合計9人)
財産はお二人で住んでいた土地建物と現金100万円のみ。
相続人のうち一人と連絡がとれない、一人は認知症。

連絡がとれない人には所在を調査してお手紙送付。認知症の人には成年後見人申し立てをし、後見人を立ててもらう。

行方不明者及び、後見人の場合は法定相続分の確保が必要。
半年かかって相手を特定し、50万円づつ支払うことで解決。
弁護士費用と併せてかなりの出費となる。

公正証書の遺言書があれば…

ほかの相続人には通知のみで足り、家庭裁判所の手続きは不要。
かかる費用は不動産の相続登記のみ。

相続問題

どちらのケースも遺言書があれば!という案件です。
早めの対策で、手続きの簡略化、費用の軽減だけでなく、精神的な不安もなくなります。

遺言がなくて困るのは残された家族です。
仲のいい家族ほど、どうしていいか分からなくなることもあります。
自分の財産には責任をもって「道しるべ」をつけてあげてください。

 

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