新型コロナウイルスに感染した時の“給与と保険”

新型コロナウイルスの猛威が止まりません。
選抜高校野球が中止に追い込まれるなど各種イベントの中止や延期が相次いでいます。世界中で株価も大暴落しており、企業業績の急激な悪化が懸念されています。東京オリンピックの中止・延期も囁かれるなど、被害は拡大する一方です。

政府では学校の臨時休学や企業へのテレワーク、時差出勤などを要請して感染拡大を止めようとしていますが、新型コロナウイルスの感染は世界中に広まっていますので、終息にはかなりの期間を要するものと思われます。

そこで、今回は新型コロナウイルスに感染した場合や会社が休業した場合などの労務管理、社会保険制度についてご説明します。

① 新型コロナウイルスに感染した場合は?

新型コロナウイルスに感染し、都道府県知事が行なう就業制限により休業する場合は、加入している健康保険制度から傷病手当金が支給されます。
傷病手当金は、療養のために労務に服することができなくなった日の3日経過後からが対象で、給与1日分(正式には、直近12カ月の平均の標準報酬日額)の3分の2が支給されます。
健康保険組合に加入している場合は、プラスアルファの制度もあります。
具体的な申請手続き等の詳細については、加入する保険者にご確認ください。

② 新型コロナウイルスに関連して従業員を休業させる場合は?

新型コロナウイルスに関連して従業員を休ませる場合の給与については、労使で十分に話し合って決めてもらいます。
給与の支給については、いくつかの方法が考えられます。

一つは、労働基準法第26条に基づき、会社は休業期間中について休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払うという方法です。
尚、この場合、会社は支払った休業手当の中小企業ならば2/3(大企業は1/2)が国から支給されます。

ただしその休業が不可抗力による場合は、会社は休業手当の支払義務はありませんので、休業となっても給与を支給しなくても構いません。

ここでいう不可抗力とは…

【1】その原因が事業の外部より発生した事故であること
【2】事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

この二つの要件を満たす必要があるとされています。

例えば、在宅勤務などの方法により業務に従事させることが可能な場合は不可抗力に該当しませんので、休業手当の支払が必要になります。不可抗力に該当するか否かは、個々の会社で判断していただきます。

もう一つは、年次有給休暇が残っている従業員については、従業員からの申し出により年次有給休暇を取得することもあります。

③ 政府の要請により、小学校や特別支援学校等の臨時休業に際して、子どもの世話をするために休暇を取得する場合は?

臨時休業した小学校や特別支援学校、幼稚園、保育所、認定こども園などに通う子どもを世話するために、従業員(正規・非正規を問わず)は法定の年次有給休暇とは別に有給での休暇取得を会社に依頼することができます。

しかしこれは会社の義務ではありませんので、あくまでも会社の判断で有給か無給かを決めることになります。
有給での休暇を与えた場合、会社には休暇中に支払った給与全額を助成(1日8,330円が上限)する国の制度があります。

会社に勤めている従業員だけではなく、フリーランスと呼ばれる自営業者に対しても本制度は適用されます。ただし、1日についての補填は4,100円になります。

新型コロナウイルス対策について、国では様々な対策を講じています。
詳しくは厚生労働省など国のホームページで最新の情報を収集するか、または社会保険労務士法人ジンザイのホームページをご覧ください。

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社会保険労務士法人 ジンザイ
社会保険労務士法人 ジンザイ社会保険労務士
当事務所は、従業員1名から上場企業まで幅広い企業様とお取引をさせていただいています。各社の企業規模や業種特性に応じて、適切かつ柔軟に対応できるのが強みです。また、経営理念として、人事・労務・社会保険業務を通じて、経営的な視点からお客様企業の(1)より良い企業風土づくり、(2)より強い企業体質づくり、(3)より業績の向上、につながるよう日夜努めています。

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