建設産業に従事する方々が日々の業務に関わる法律を解説します。
【建設業法の目的】
建設業法第1条では
「建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」
と規定されています。
これは、建設業法が
①「建設工事の適切な施工」、
②「発注者の保護」及び
③「建設業の健全な発達の促進」
を目的としていることを表しており、そのための手段として、
① 建設業許可制度の実施
② 建設工事の請負契約の適正化
③ 下請負人の保護
④ 建設工事に関する紛争の解決
⑤ 建設業者等に対する必要な監督
等の規定が設けられています。
【建設業の許可とは】
建設業法第3条では、
「建設業を営もうとする者は、(…略…)二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業しようとする場合にあっては当該営業所の所在地を所管する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。」
と規定されています。
この条文の意味は下図のとおりです。
【建設業許可が必要となる請負金額等】
建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。
ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくても良いこととされています。
※ここでいう「軽微な建設工事」とは、次の建設工事をいいます。
①建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
●「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
●「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
②建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
無許可で請け負った場合は、建設業法第47第1項第1号の規定により三年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられる場合があります。
図:国土交通大臣許可と都道府県知事許可の違い
図のA社のように、東京都と神奈川県に建設業法上の「営業所」を開設する場合は、
2県以上にまたがっているので、国土交通大臣許可となり、B社のように建設業法上の営業所を2つ以上開設しても、
同一都道府県内にのみ設置される場合は当該都道府県知事許可となります。
ここで、建設業法上の「営業所」の定義は以下のとおりです。
① 常時建設工事の請負契約を締結する事務所
② ①に該当しない場合でも他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与する事務所
ここで「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、
請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実質的な行為を行なう事務所をいいます。
投稿者プロフィール
- 飲食店や不動産業、運送業など営業を始める前にお役所の許認可が必要になるビジネスは意外と多いもの。当事務所では許認可の取得のお手伝いをしております。都庁での建設業許可の相談員も拝命しております。営業許可・許認可のことはささいなことでもお気軽にご相談ください。
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