月給制の社員が欠勤した場合の給与計算

「月給制の社員が欠勤した場合、給与計算はどのようにしたらよいか」、

という相談を受けます。

欠勤控除の計算方法に関してはノーワーク・ノーペイの原則から、
労働しなかった時間・日数に相応する時間については減額控除するのが一般的です。

この場合に、事前に就業規則等で計算方法を決めておく必要があります。

 

通常、1日あたりの欠勤控除の計算方法は、

「月の所定労働日数を年間の平均で算出する方法」と、
「各月ごとの所定労働日数で計算する方法」

2つがあります。

 

各々のメリットとデメリットをまとめてみます。

①月例給与額÷年平均の月所定労働日数×欠勤日数年平均での所定労働日数による方法は、
労働基準法に定められた割増賃金の計算方法に準じたもので、
この「年平均の所定労働日数」の算出方法は以下のように計算します。

(365日-就業規則等で定められた年間の所定休日日数÷12か月

※例:所定休日日数が、日曜日52日、土曜日51日、祝日15日、年末年始4日の場合
⇒365日-(52日+51日+15日+4日)÷12=20.25日(≒ 20 日とします)

 

☆メリット

欠勤 1 日あたりの控除単価はその月の所定労働日数に関係なく一定のため、
毎月の給 与計算が容易になります。

 

★デメリット

たとえば、所定労働日数が 21 日の月に 20 日欠勤すると、
1日勤務したにも拘わらず、給与が全く支払われないということになってしまいます。

しかし年平均の所定労働日数による方法は、
年間所定労働日数に対して欠勤した日数を控除するという考えのため、年間を通じてみれば過不足は生じません。

上記の計算方法の矛盾を解決する一つの手段として、一定の基準日を設けて欠勤控除の適用方法を2段階にする方法があります。
基本的には減額方式(欠勤時は控除式で欠勤した日の賃金を控除する)ですが、
一定の基準日を超えた欠勤については、加算方式(実際に勤務した日数分の給与を支払う)に切り替えます。

 

●欠勤が10日以下の場合(減額方式) ⇒「月例給与額÷年平均の月所定労働日数×欠勤日数」

●欠勤が10日を超える場合(加算方式)⇒「月例給与額÷年平均の月所定労働日数×出勤日数」

 

 

②月例給与額÷該当月(賃金計算期間)の所定労働日数×欠勤日数

その月の賃金計算期間中の所定労働日数で、欠勤1日の控除単価を決めます。

※例:賃金計算期間が9月1日~9月30日で、日曜日4日、土曜日4日、祝日2日の場合
⇒30日-(4日+4日+2日)= 20日

 

☆メリット

該当月(賃金計算期間)の所定労働日数で割るため①のような矛盾は生じません。

 

★デメリット

該当月の所定労働日数は各月によって違う場合がありますので、
欠勤1日あたりの 控除単価が変動します。

月給制は所定労働日数や歴日数が月によって変動しても、一定の固定給を支払うという制度です。
同じように働いているのに、月によって欠勤1日の単価が異なることは矛盾があります。

 

◆その他

控除対象とする給与額を基本給のみとする場合と、
諸手当も対象とする場合の2つがあります。

前者の場合、1ヶ月間すべて欠勤すると諸手当のみ満額で支給されることになります。

このような場合には、一定の日数を超えて欠勤したら諸手当も含めて日割計算する等、
社内ルールを決めておくことが必要になります。

給与計算って、奥が深いですね~

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社会保険労務士法人 ジンザイ
社会保険労務士法人 ジンザイ社会保険労務士
当事務所は、従業員1名から上場企業まで幅広い企業様とお取引をさせていただいています。各社の企業規模や業種特性に応じて、適切かつ柔軟に対応できるのが強みです。また、経営理念として、人事・労務・社会保険業務を通じて、経営的な視点からお客様企業の(1)より良い企業風土づくり、(2)より強い企業体質づくり、(3)より業績の向上、につながるよう日夜努めています。

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