「境界トラブル」と言われて連想するものと言えば、「境界線の主張の違いによる言い争い」と答える人は多いのではないでしょうか。
では、言い争いになるきっかけには意外な火種があるのですが、それは何だと思いますか?
実は測量したことが原因でトラブルに発展することが往々にしてあるのです。
測量をしてみて初めて自分の認識している境界線が本来の境界線とは違っていたことに気付き、且つ今まで蓄積されたお隣さんへの不満も重なって一気にトラブルへと発展するケースです。
塀一枚で隔てていたお隣さんとの境界線が今や朝鮮半島の『38度線』のような緊迫した状況になりかねないわけです。
またトラブルの特徴として、前述した認識の相違で火が付くのは専ら境界立会いに応じる側の測量地のお隣さんなのです。
測量を依頼する側は認識の相違があっても大抵は受入れてもらっています。
なぜなら依頼者には売買、建築、相続などの目的があるため、測量でストップする事はその目的を果たせなくなる可能性があり、意地を張る事のメリットが少ないことは言うまでもありません。
それではあなたが測量地のお隣さんであった場合、認識していた境界線ではない説明を土地家屋調査士から受けた際にするべき行動を良い例と悪い例を併せて説明します。
● 警察に相談しよう
これはダメです。民事不介入である警察に相談したところで何も動いてはくれません。
● 市(区)役所へ相談しよう
これもダメです。親身になって聞いてくれる人はいるかもしれませんが、根本的な解決には至りません。
● 法務局へ相談しよう
悪くはない選択ですが、アドバイスをもらえるだけでこちらも根本的な解決には至りません。
● 弁護士へ相談しよう
徹底的に相手と争う気持ちがあるのならいいでしょう。しかし、泥沼化する前にすべきことはあります。
★ 土地家屋調査士へ相談しよう
まずは再度、相手側の土地家屋調査士の話を冷静に聞いてみて下さい。
土地家屋調査士は法律で〈公正かつ誠実に業務を行うとともに、自らの行動を規律する社会的責任を負う〉と定められています。
中立な立場で境界線を導くのは土地家屋調査士の使命とでも言うべきものですが、それでも納得できない場合は別の土地家屋調査士に相談してみて下さい。
互いの土地家屋調査士で出した結論が同じであれば、それを覆すことは難しいので、受け入れる心の準備を整えましょう。
結論が違う場合には、互いの主張する中間線で決するという選択肢もあります。
すぐに法廷で争うのではなく、現場で解決することは時間と費用を節約できるということ以上に、お隣さんとの関係の悪化を回避できることにも繋がります。
最後に一つだけ忠告しておきます。
納得の出来ない境界線を提示された場合に「不承諾」という選択肢もありますが、このカードだけはなるべく使わないようにして下さい。
問題を後世へ先延ばしにするだけの「境界トラブル継続中」という札を貼られた土地となってしまうことは、
あなたにとってもお隣さんにとっても、有意義なことには決してなりません。
投稿者プロフィール
- 土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記をお客様に代わって申請できる唯一の国家資格を持つ専門家です。不動産は高価な資産であり、正確に登記することが財産の保全にも繋がり取引の安全が計れます。当事務所では、昭和26年開業以来『迅速』『丁寧』『正確』をモットーにさまざまな業務を取り扱ってきました。豊富な経験を生かし、お客様が安心してご依頼いただける、まちの専門家であり続けたいと思っております。
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