120年ぶりの民法の改正案が国会で成立しました。
民法改正の内容は多岐に渡りますが、今回は定型約款について取り上げようと思います。
電気・ガスの契約、インターネットでショッピング、保険の契約などに出てくる約款(やっかん)。
「とても小さな字で細かなことが書いてある」…というイメージを持っている方が多いと思います。
おそらくほとんどの方は読まれていないと思います。私も読んでいません。
そもそも定型約款とは、多くの取引を画一的に処理するために、あらかじめ定型化された契約条項のことをいいます。
この定型約款に当たるものといえば、具体的には以下のようなものです。
預金規定
クレジットカード規約
保険約款
利用規約
これによって企業側は効率化を図っているわけですね。
実は現行の民法では約款についての規定がなく、当事者の意思を尊重するという観点から、
約款に書いてあるからと言って、必ずしも当事者がそれに拘束されるわけではなかったのですが、
今回の改正民法では約款も法的に有効であることや、約款を巡る様々なルールが明記されることになります。
例えば…
① 内容を消費者が認識していなくても合意したものとみなされる
② 合理的な理由なら企業側からの変更も可能
(ただし、約款に「変更することがある」との規定があり、変更する場合にはその周知をしなければならない。)
③ 一方的に消費者が不利になるような内容は無効
(例えば、高額な違約金またはキャンセル料を支払わせる条項)
大枠として定型約款にあたる場合、現実の合意がなくても合意があったものとして扱えるのが、定型約款のメリットです。
特に①について考えると、これまで以上に約款にしっかり目を通す必要があるということになります。
改正民法では定型約款に該当し、民法のルールを守れば合意が擬制されます。
つまり「約款は契約には含まれない」、「読んでいなかった、理解していなかった」といった理由により、争いが生じることがなくなるわけです。
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