空き家を有効活用し、新たな発生を抑えるための税制改正【後編】

平成28年度の税制改正により実施される「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」。
後編では実際の計算のイメージを見てみましょう。

相続した家屋を取り壊し、取り壊し後の敷地を1,000万円で売却した場合

【前提条件】 

◎ 昭和50年建築 
◎ 購入金額不明※ 
◎ 平成27年1月相続 
◎ 平成29年5月取り壊し、売却 
◎ 取り壊し費用300万円 

※購入金額が不明の場合には、売却金額の5%(概算取得費)で計算します。

 

要件はすべて満たしているものとして、所得税・住民税を計算してみましょう。

売却益は、「売却金額―(購入金額+取り壊し費用等)」という算式により計算します。

この制度は、この売却益から3,000万円差し引くことができるというものです。
この売却益に対し、所得税15.315%、住民税5%(合計20.315%)が課税されます。

【適用を受ける場合の所得税・住民税】 
(1,000万円―1,000万円×5%―300万円―3,000万円)×20.315%=0円 

【適用がない場合の所得税・住民税】 
(1,000万円―1,000万円×5%―300万円)×20.315%=132万円 

この例では、この制度がない場合には132万円の税金を納める必要がありましたが、この制度の適用を受けることにより、税金を納める必要がなくなりました。

空き家を所有されている方の中には、子どもの頃にご両親と一緒に暮らしていた家屋を手放したり、取り壊したりすることについてなかなか決心がつかず、相続してそのままの状態になっている方も多いと思います。

【前編】で述べた通り、この制度の適用には期限がありますので、今後空き家をどのようにされるのか、ご家族でよく話し合っていただきたいと思います。

【期間】 
① この制度の適用期間である、平成28年4月1日から平成31年12月31日までに売却すること 
② 相続日から3年を経過する日の属する年の年末までに売却すること

また、この制度は適用要件が複雑ですので、ご不明な点がございましたら税理士にご相談ください。

 

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