平成32年4月頃に約120年ぶりの抜本改正を予定している民法。
改正されると、賃貸借契約についての敷金、及び退去時の原状回復についても見直されることになります。
一般的にマンションやアパート等、部屋を借りる際には敷金として家賃の1~2か月分を請求されるケースが多いと思いますが、
これまでの民法では敷金の定義、敷金返還債務の発生要件、充当関係などの規定は特に明文化されていませんでした。
そのため退去する際にはハウスクリーニング代、クロス張り替え代、畳表替え代などの名目で差し引かれ、
「返金されるはずの敷金が全く返ってこない!」といったトラブルが多発していました。
この点についての判例は、
「賃貸借契約は、賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払いを内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されている」、
つまり「賃貸物件で生活して汚れたり、劣化、損傷してしまっても、原状回復させる必要はない」、としていました。
今回の改正では、この判例を踏まえ「賃借人は経年劣化を含む通常使用による損耗について原状回復する義務はない」ことを明文化しました(民法621条)。
また敷金について「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と明確に定義し、
「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」は、
「賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭債務(例えば家賃の滞納分等)の額を差し引いた残額を返還しなければならない」として、敷金の返還義務を明確に規定しました(622条の2)。
これにより「大家さんからハウスクリーニング代やリフォーム代が敷金から差し引かれてしまった!」という理不尽がなくなることが期待されます。
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