経済のグローバル化に伴い、海外で働く人や逆に海外から日本に来て働く外国人が急増しています。
国際間の人的移動により、年金制度について次のような問題が生じています。
●二重加入問題
相手国に派遣され就労している人には、派遣中でも自国の年金制度に継続して加入している場合が多く、
自国の公的年金制度と相手国の公的年金制度に対して二重に保険料を支払うことを余儀なくされる場合があります。
●年金受給資格の問題
日本の公的年金制度に限らず、外国の公的年金制度についても老齢年金の受給資格のひとつとして一定期間の制度への加入を要求している場合がありますが、相手国に短期間派遣され、その期間だけ相手国の公的年金制度に加入したとしても老齢年金の受給資格要件としての一定の加入年数を満たすことができないことが多く、相手国で負担した保険料が掛け捨てになる場合があります。
これらの問題に対して、自国と相手国の間で「社会保障協定」という制度を締結して、解決しています。
① 社会保障協定発効状況
2019年9月1日時点における社会保障協定の発効状況は、以下のとおりです。
日本は22ヶ国と協定を署名済で、うち20ヶ国は発効しています。今年9月から新たに中国が加わりましたので、利便性が増しています。
② 日本で働く外国人労働者の割合
日本で働く外国人労働者は2020年のオリンピックに向けて増加の一途を辿っており、2018年10月現在で約146万人。前年度より14.2%も増加しています。
国籍別では、中国が最も多く389,117人(外国人労働者数全体の26.6%)。次いでベトナム316,840人(同21.7%)、フィリピン164,006人(同11.2%)、ブラジル117,299人(同9.2%)と続いています。
③ 社会保障協定の手続き(中国の場合)
社会保障協定の手続きは相手国によって異なりますので、詳しくは日本年金機構のホームページで確認する必要があります。
今回新たに加わった中国の場合では、派遣された従業員が勤務している日本の会社から管轄の年金事務所へ適用証明書を提出します。
この原本を派遣先の中国の会社を通じて、中国の社会保険料徴収機関へ提出することによって、中国での年金の免除手続きを行います。
これにより、協定発効日に中国へ派遣されたものとして取り扱われ、協定発効日から5年間は日本の年金制度のみに加入し、中国の年金制度の加入は免除されることになります。
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