厚生労働省より「平成29年度 個別労働紛争解決制度の施行状況」が公表されました。
全国的な労働相談の統計では最大規模の調査です。
「個別労働紛争解決制度」とは、
個々の労働者と事業主との間で労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、
早期に解決を図るための制度です。
この制度には
「総合労働相談」
「助言・指導」
「あっせん」
の3つの方法があります。
昨年に比べて、全体の「総合労働相談件数」と「あっせん件数」は減少し、
「助言・指導件数」は増加しています。
労働者とのトラブルの傾向がよくわかりますので、参考にしてみて下さい。
【1】相談内容別の件数
「総合労働相談」「助言・指導」「あっせん」の3つの全てにおいて
「いじめ・嫌がらせ」が引き続きダントツの第1位で全体の23.6%。
「自己都合」12.8%、「解雇」10.9%、「労働条件の引下げ」8.5%、「退職勧奨」6.8%、「雇止め」4.7%と続いています。
平成20年度の「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は約3.2万件でしたが、
平成29年度は約7.2万件へと2倍以上に急増しています。
一方、平成20年には相談件数がトップであった「解雇」は、
約6.7万件が約3.3万件へと半減しています。
景気の回復が反映しているものと考えられます。
【2】無期転換回避の「雇止め」が急増
①雇止めとは!?
会社が労働者との有期労働契約が終了しても更新せずに、
契約期間の満了をもって労働者を退職させることを「雇止め」といいます。
「雇止め」は有期労働契約において生じるもので、
正社員のような無期労働契約では生じません。
なお、有期契約期間の途中で労働者を一方的に退職させることは、解雇になります。
②雇止めの増加
全体の労働相談件数約30万件のうち、1万4,000件が「雇止め」でした。
前年を約2,000件、一昨年を約3,000件上回っています。
また、都道府県労働局長による助言・指導実施件数約1万件のうち、
700件強が「雇止め」で、前年と比較すると約3割増加しました。
前年まで500件台で推移していたので、29年度に急増したといえます。
この背景としては、平成30年4月から有期労働契約の「無期転換ルール」が始まることから、
無期転換をさせたくない労働者に対し、それを回避するための手段として、
3月末までに「雇止め」が多く行われたものと考えられます。
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