昨今、お客様と面談していると「NISA、つみたてNISAと併せてiDeCo(個人型確定拠出年金)をやってみたい」というお客様が増えた印象を受けます。2021年11月現在で224万人以上がiDeCoに加入しており、今も増え続けています。そして今年の2022年にiDeCoが改正されることになります。
iDeCoとは
国民年金、厚生年金とは別に自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産形成をする自分自身で作る年金制度です。昨今は長生リスクや年金の減額、2,000万円問題が話題となり、国民年金や厚生年金だけでは不足してしまう可能性が取り上げられていますので、その穴埋め分として活用している方が増えています。
iDeCoのメリット
掛金が全額所得控除
掛金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。
※掛金は自営業者、会社員・公務員、専業主婦等により上限が決まっています。
運用益が非課税で再投資
通常、金融商品で運用すると運用益に課税されますが(20.315%)、iDeCoは非課税で再投資できます。
受け取り時の税制優遇
受け取りは一時金と年金を選択できます。一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適用され、受け取り時も税制優遇されています。
iDeCoを選ぶ際のポイント
iDeCoは毎月管理手数料が引かれます。
金融機関により毎月の管理手数料に差があり、取り扱いしている商品数にも差があるので、どの金融機関でiDeCoを開設するかも重要です。
改正のポイント
2022年iDeCoの改正される内容は以下の3つとなります。
① 受け取り開始年齢の拡大(2022年4月より)
② 加入可能年齢の拡大(2022年5月より)
③ 企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入要件の緩和(2022年10月より)
① 受け取り開始年齢の拡大
現在、受け取り開始年齢は60歳から70歳までの間で選択できますが、60歳から75歳に拡大されます。
※受け取りは一時金、年金を選択できますが、受給の上限年齢(現在70歳、2022年4月より75歳)になると、年金受け取りが選択できなくなります。
●5年延ばすメリット
◎受け取るタイミングを選びやすくなる
◎非課税での運用期間が5年伸びる
●注意点
◎マーケットによっては運用状況が悪化する可能性がある
◎口座管理手数料が必ず掛かるので、遅らせた分だけ口座管理手数料が掛かり続ける
② 加入可能年齢の拡大
現在加入年齢の上限は60歳となっていますが、65歳に拡大されます。
●メリット
◎所得控除の期間が延長
◎非課税での運用期間の延長
◎老後資金を積み増しできる
●注意点
◎全員が一律で5年間延長されない
◎延長されるのは60歳以降も会社員や公務員として働く方、または国民年金の任意加入者
※国民年金の任意加入とは保険料の納付済期間が40年(480月)に達していない方が65歳まで加入できる制度です。日本国籍を持っている海外移住者も任意加入の対象です。
③ 企業型確定拠出年金(以下企業型DC)とiDeCoの同時加入要件の緩和
企業型DCに加入していると、ほぼiDeCoに加入することができませんが、多くの方が今後iDeCoと併用できるようになります。
●メリット
◎iDeCoのメリットを享受できる
◎企業型DCにない商品を選択できる
●注意点
<マッチング拠出制度のない企業型DCに加入している方>
企業型DCの拠出上限額は下記となり、下記上限額に達している方はiDeCoとの併用はできません。
◎確定給付型企業年金がない方:55,000円/月
◎確定給付型企業年金がある方:27,500円/月
上限額に達していない方はiDeCoとの併用が可能です。
iDeCoと併用した際のiDeCo掛金の上限額
◎企業型DCのみ導入している会社勤務の方:20,000円/月
◎企業型DC、確定給付型企業年金を導入している会社勤務の方:12,000円/月
<マッチング拠出制度がある企業型DCに加入している方>
マッチング拠出とは会社が拠出する掛金に加えて、加入者本人が上乗せして拠出できる仕組みです。
今回の改正で確定拠出年金に上乗せ(マッチング拠出)するのか、iDeCoに上乗せするのか選択できるようになりました。
マッチング拠出時
◎自分が出す掛金が会社掛金以下の範囲
◎会社掛金とマッチング拠出の合計額が55,000円または27,500円以下
※確定給付型企業年金があるかないかで拠出できる合計額は変わります。会社掛金が少ないと自分が出せる掛金も小さくなります。
iDeCoとの併用時
◎iDeCoの拠出限度額は20,000円または12.000円
◎会社掛金とiDeCoの合計額が55,000円または27,500円以下
※確定給付型企業年金があるかないかで拠出できる合計額は変わります。
会社掛金が少ない場合はiDeCoと併用した方が多く拠出できます。iDeCoと併用すると管理する口座が増えること、口座管理手数料がiDeCoについては本人負担となることに注意です。
iDeCoは60歳までお金が引き出せないことが注意点となります。住宅購入資金や教育資金には使えない方が多いかと思いますので、しっかりと今後のライフプランを検討した上で、いくら拠出するのかをご検討ください。
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