【遺贈寄付】通常の“遺贈”とはどう違う?

おばあちゃんと孫

「遺贈寄付」とは特に遺言者が公益法人・NPO法人・学校法人などに自分の財産を遺贈する、つまり「譲る」ことを言います。
遺言書で自分の財産を遺贈することはありうることですが、通常の“遺贈”と“遺贈寄付”との違いはどのようなものでしょうか。

 

遺贈寄付のメリット・要件

遺言者は遺言によって自分の法定相続人だけでなく、第三者に対して自身の財産を譲ることができます。これを「遺贈」といいます。この場合、遺産の価格や相続人の人数によって相続税が発生することがあります。

それに対して「遺贈寄付」とは一般的に遺贈の中でも特定の要件を充たしている団体に遺贈することによって、相続税が発生しない場合を言います。

寄附イメージ

特定の要件の一例として…

① 国、地方公共団体または公益を目的とする事業を行う特定の法人の場合

遺贈される側が国・地方公共団体・教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる、公益を目的とする事業を行なう特定の法人であることです。
なお、特定法人の範囲は独立行政法人や社会福祉法人などに限定されており、寄附の時点で既に設立されているものでなければなりません。

 

② 特定の公益信託の信託財産とするために支出をした場合

その受託者が信託会社であり、その公益信託が「教育や科学の振興などに貢献することが著しい」と認められるなど一定のものであることです。

 

③ 認定NPO法人に寄付した場合

認定NPO法人が行なう特定非営利活動促進法に規定する特定非営利活動に係る事業に関連する寄附をすることです。

npo法人

 

遺贈寄付の手続

① 遺贈する団体を選びます。自分の財産を遺贈するので、慎重に選ぶことが重要になります。自分の意思に適うか、事前に問い合わせて相談することが望ましいでしょう。

② できれば公証役場で遺言書を作成して、遺言執行者を選任するとよいでしょう。遺言執行者を選任することによって、スムーズに遺贈の手続を進めることができます。公証役場ではなく、自筆で遺言書を書く“自筆証書遺言”もありますが、形式的な要件がありますのでご注意ください。

③ 遺言書を保管し、万一の場合に備えて遺言執行者に連絡がつくようにしておきましょう。“自筆証書遺言”を法務局に預けることもできます。

④ やはり「遺言書を書き換えたい」と思った場合には、書き換えも可能です。

⑤ そして、お亡くなりになった後には、遺言執行者が職権で遺贈を受ける団体に遺産を譲渡していくことになります。

自筆証書遺言イメージ

「遺贈寄付」は以上のように公益性がある団体に相続税が発生しないように、自身の財産を譲渡する制度です。
もっとも、遺贈寄付をする遺言書を作成するとしても、同時に自身の家族などに遺贈させるような併用型も可能です。

一番大事なのは「自分の財産をお亡くなりになった後にどうしたいか」をよく考えて、遺言書を作成することでしょう。

自筆証書遺言の書き方をサポートしています。詳しくはこちらからどうぞ。

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原・井上・藤川法律事務所
原・井上・藤川法律事務所
当事務所はさまざまな分野の法律紛争に対応しておりますが、案件としては相続事件がやや多めになっております。相続対策は早いほど効果的。気になることがある方は一度ご相談ください。平成25年4月 当事務所の弁護士たちで、東洋経済新報社より『新版 図解 戦略思考で考える「相続のしくみ」』を上梓しました。事務所は、アクセスの良い銀座一丁目駅にあります。まずはお問い合わせください。

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