7月1日に、国税庁より令和3年度相続税路線価が公表されました。
例年通り、これについて書かせて頂こうと思います。
まず、「相続税路線価」とは何かというご説明からですが、
相続税の申告の際、相続税が課税される対象になる土地の財産価格を計算する基準となる価格(単価)で、道路毎に路線価が付けられています。
毎年国税庁より任命された不動産鑑定士が各エリア毎に10人前後のグループを組み、地価動向等について検討を重ね、1月1日時点の路線価が決定されます。
(私は現在、横須賀市エリアの担当に任命されております)
路線価は概ね近隣の地価公示価格、80%程度の水準に設定されております。
次に神奈川県内の動向について以下、述べさせていただきます。
神奈川県全体としては住宅地の平均はマイナス0.6%となり、下落に転じました。
商業地の平均もプラス0.1%。前年のプラス2.7%から大幅に上昇率が鈍化しました。
各税務署管内の最高路線価の上位5地点については以下のとおりです。
※各税務署の管轄毎の最高路線価という性質上、話題が商業地に限定されてしまう点をご了承下さい。
上昇率で県内トップに立ったのは、前年2位だった横浜駅周辺の「鶴屋橋北側」で+7.0%。
JR横浜タワーからデッキで直結する「鶴屋町ビル」が昨年6月に開業されており、引き続き好調です。
しかし前年のプラス25.2%と比較すれば上昇率は大幅に鈍化しており、新型コロナウィルス感染症による集客力の低下は否めないという結果になりました。
2位は前年トップであった「横浜駅西口バスターミナル前通り」でプラス3.1%。
1平方メートルあたりの価格は1,608万円で全国でも3位の高水準です。
鶴屋町ビルと連絡する形で同時期に「JR横浜タワー」が開業し商業店舗や企業の集積が進み、「横浜の顔」として高いステータス性を維持していることが地価にも反映されています。
上昇率3位は、「本厚木駅北口広場通り」で+2.4%。
近年、上位は横浜市・川崎市が独占していましたが、「2021年 LIFULL HOME’S 住みたい街ランキング(首都圏版)」において、本厚木駅は「借りて住みたい街」:第1位・「買って住みたい街」:第3位にランクインされております。
新型コロナウィルス感染症の影響によるテレワーク需要が高まった結果と考えられます。
全般的な傾向としては、横浜・川崎エリアは概ね上昇傾向(ただし上昇率は鈍化)、相模原市は横ばいとなりました。
一方で、「横須賀中央駅前通り」「鎌倉駅東口駅前通り」「藤沢駅南口広場通り」は下落に転じており、本厚木と同じ都心からやや離れた都市でも明暗が分かれる結果となっています。
今後、東京オリンピック等を経て、世の中の経済活動がどのように変化し、来年の路線価にどのように影響を与えるのか。
とても予測しづらい状況にありますが、引き続き注視していきたいと思います。
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