【空き家問題】相続した田舎の土地、住まないとどうなる?

相続手続きのご依頼があり、不動産の相続による名義変更手続きをした後、「住む予定がないのですが、どうしたらいいですか?」と聞かれることが増えてきました。
ご自身は関東に家があり、地方には親戚がいるだけで、ほとんど帰省することもないとのこと。

そのまま残すなら、固定資産税やメンテナンス費用などの維持費がかかってきます。

どのようにするのが一番いいのでしょうか?

固定資産税イメージ

相続した家に住まない場合のデメリット

① 固定資産税や維持費を支払い続けなければならない

「家に住まない」、「でも売却しない」といった場合には、住んでいない家のために税金や維持費を支払う必要があります。

② 定期的に手入れをしないと家が傷む

「住まない」、「手放さない」、「賃貸にも出さない」といった場合には、空き家となります。
誰かが定期的に家へ通い、風を通し、草を刈るといったメンテナンスをしないと、家はどんどん傷んでいきます。
自分が通えなければ管理会社などに依頼することになりますが、その際には管理費用が必要です。

③ 台風などで第三者に損害を与える可能性

自然災害により屋根の瓦が飛ぶ等で、近隣の方に損害を与えてしまう可能性があります。
また、空き家の状態で長期間放置すると建物倒壊の危険性も高まってきます。

以上から今後費用の負担が発生することが一番のデメリットと考えられます。

空き家問題イメージ

相続した不動産を処分する方法

定期的に行く、移り住む等で維持管理をしたとしても、今度は「自分が亡くなったらどうする?」という問題が降りかかってきます。
どこかのタイミングで処分しなければならない可能性は高いです。

相続した不動産を処分する方法はいくつかあります。

① 売却する

② 貸し出す

③ 建物を壊し「相続土地国庫帰属制度」を利用する

不動産のある場所によっては①②で利益を得ることが可能です。
ただ、一番困るのは売れない、貸せない場所の不動産です。

相続土地国庫帰属制度イメージ

売れない、貸せない土地を国に移転できる制度

これまで使用されていない不動産を放置してきたことから、

「所有者や管理者が不明になっている土地が九州の面積より広い」

と言われています。

そのため、そのような土地を国に移転できる制度が創設されました。

③の相続土地国庫帰属制度です。

利用には条件がいくつかあります。

① 土地であること(建物は取り壊してからの手続きとなります)

② 相続または遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により、その土地の所有権または共有持分権を取得したこと

③ 他人の権利(抵当権・地役権・地上権など)が設定されていないこと

④ 境界が明らかになっている土地

以下の場合、申請しても承認されないこともあります。

① 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用または労力を要するもの

② 土地の通常の管理または処分を阻害する工作物、車両または樹木その他の有体物が地上に存する土地

③ 除去しなければ土地の通常の管理または処分をすることができない有体物が地下に存する土地

④ 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理または処分をすることができない土地として政令で定めるもの

⑤ 上記のほか、通常の管理または処分をするにあたり過分の費用または労力を要する土地として政令で定めるもの

相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を手放せる手段として期待が持てる制度です。

しかし、土地の上に建物があると利用できない、隣地との境界が明らかでないと利用できないなど、却下要件・不承認要件に引っかかる土地も多いかと思われます。
また、審査費用として1筆14,000円、承認された場合管理費として最低20万円から(地目や用途地域・広さによって異なります)の費用がかかります。

相続土地国庫帰属制度について詳しくは、法務省のページを参考にしてください。

空き家問題イメージ

ご両親が住まれている田舎の土地や家を今後どうするか。

「売却したい」、「貸したい」、「住みたい」等でも、ご親族の意見が食い違うと手続きできないこともあります。

ご家族が元気なうちに話し合われてみてはいかがでしょうか?

 

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