自分が所有している財産の相続方法について、最終意思を相続人へ向けて伝えられるのが遺言書です。
自分の亡き後に実現して欲しいことを、相続人に向けて自由に記載できますが、実は何でも実現可能になるわけではありません。
遺言書に記載することで法律上の効力が生じることについては、法律に定められています。
これを、「法定遺言事項」といいます。
法定遺言事項は全部で14種類あります。
そのうちの主なものは以下のとおりです。
◎ 共同相続人の相続分の指定
◎ 特別受益者の相続分に関する指定
◎ 遺産の分割方法の指定
◎ 遺産分割の禁止
◎ 遺贈
◎ 遺言執行者の指定
◎ 信託の設定
◎ 祭祀主宰者の指定
◎ 推定相続人の廃除
◎ 認知
◎ 未成年後見人の指定・未成年後見監督人の指定 など
「法定遺言事項」以外のことを書いても、法律上の効果は生じません。
「法定遺言事項以外の事項を遺言書に記載してはいけない」という決まりはありません。
記載しても法律上の効果がないということです。でも、遺言書は遺言者の最終意思であるため、事実上、相続人に対して大きな影響を与えることも少なくありません。
そこで、法定遺言事項以外の事項を記載する方法としてよく利用されているのは、「付言事項(ふげんじこう)」といわれる記載です。
家族へのメッセージを伝えるための手紙のような意味になります。
付言事項の記載される内容としては、以下のものが考えられます。
◎ 相続人への感謝の言葉やこれからの想い
◎ 遺言によって一部の相続人に法定相続分よりも多く財産を遺贈するような場合のその理由
◎ 相続人間で、自分の相続について争ってほしくないよう望む旨
◎ 葬儀の方法
◎ 飼っていたペットの世話
◎ 死後のSNSの取扱い など
付言事項は何でも記載できますが、記載内容によっては逆に争いを誘発する恐れもあります。
例えば、一部の相続人に対する否定的な表現(恨みや怒り)などです。その否定的な表現の対象となった相続人の怒りを誘発してしまい、揉めるきっかけとなったケースがあるようです。
また、「多くの遺産を受け取った相続人に対して遺留分を請求しないで欲しい」などの希望を伝えてしまったために、逆に遺留分を請求するきっかけを作ってしまったケースもあるようです。
遺言書の作成にあたり、形式などがわかっていても、記載内容によっては、自分の想いとは別の結果になってしまうことも考えられます。
遺言書を作成する際は、ぜひ、溝淵司法綜合事務所にご相談ください。
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