3月23日に国土交通省より令和3年公示地価が公表されました。
この公示地価とは、毎年1月1日時点の各市区町村の住宅地・商業地・工業地の地価及び変動率を公表するものであり、国土交通省から委嘱された不動産鑑定士が調査して地価の判定を行っております。
ちなみに私は三浦半島(横須賀市・逗子市・三浦市・葉山町)の担当を任命されております。
さて、令和3年1月1日時点の公示地価の動向について以下、述べていきたいと思います。
まず、全国的な傾向としてはここ数年は上昇が続いていましたが、住宅地で5年ぶり、商業地で7年ぶりに下落に転じてしまいました。
もちろん最大の要因は新型コロナウィルス感染症(以下、コロナウィルス)の影響が大きかったと考えられます。
神奈川県内だけで見てみても住宅地は平均で-0.6%と下落に転じています。一方、商業地に関しては+0.1とかろうじて上昇でしたが、前年は+2.6%だったので、やはりコロナウィルスの影響が大きいと感じられます。
住宅地で最も上昇したのは横浜市西区岡野2丁目。2位と3位も西区(岡野1丁目、南軽井沢)。
いずれも横浜駅から徒歩圏内の住宅地域で元より交通利便性が良いエリアで、加えて昨年JR横浜タワー、鶴屋町ビルの竣工などで横浜駅周辺の商業施設が一層充実したことが要因と考えられ、この状況下においても3%台の上昇となりました。
リニア新駅ができる橋本駅周辺も、ここ数年上昇率の上位の常連となっており、今回も7位(橋本8丁目)・8位(橋本1丁目)・9位(東橋本3丁目)にランクインしております。
10位の綱島東1丁目は、東急と相鉄線が直通となる新線で開業予定の「新綱島駅」に近いため、期待感が高まっての地価上昇と考えられます。
一方、下落率では相変わらず三浦半島地区が上位を占め、神奈川県西部地区も一部ランクインしています。
交通アクセスの悪さなどから、下落率上位の常連地区ではあります。
コロナウィルスの影響によるテレワーク需要も多少あるようですが、それでもやはり需要が大きく上がるような結果にはなりませんでした。
商業地で最も上昇したのは、横浜市西区みなとみらい3丁目でした。
桜木町駅近くに横浜市役所が移転したり、ロープウェイが開通した他、これからJR桜木町ビルの建設も予定されており、今後の発展が期待されています。
2位には昨年トップだった横浜市神奈川区鶴屋町2丁目。横浜駅西口周辺エリアであり、神奈川県内の顔としての存在感を維持しています。
一方、下落率トップは横浜市中区山手町。横浜中華街エリアとなりますが、最もコロナウィルスにより深刻なダメージを受けていることが鮮明になりました。
下落率が-10.3%と住宅地・商業地を含め唯一の二桁となっており非常に厳しい結果です。
この1年間はコロナウィルスという、過去に例を見ない特殊な要因により地価上昇が全般的に弱くなってしまいましたが、この影響がどこまで続くのか。
また、不動産業者の方にお話をお伺いしたところ、テレワークによる都心からの住宅移転の動きは横浜市内のほか、郊外である小田原市・厚木市・三浦半島などにもみられているとのことで、この動きが本格化するかどうかも見極めのポイントです。
また半年後・1年後に、どのような結果となったのかを分析できればと思っております。
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