みなさんは「景品表示法」という法律をご存じでしょうか。
最近のニュースでも、「トロピカーナ100%まるごと果実感メロンテイスト」を販売する会社に対して、実際にはメロン果汁が2%しか入っていなかったにもかかわらず、上記の表示をしたことが景品表示法違反であるとした事例や、
「浮遊するインフルエンザウイルスを除去する」と表示してマイナスイオン発生機を販売していた仙台の会社について、景品表示法違反であるとした事例など、
景品表示法違反について報道されている事例をしばしば見かけます。そこで、今回は景品表示法についてお話をしたいと思います。
法律の内容
景品表示法は、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。
この法律は、商品やサービスの取引に関連して、不当な景品の提供や不当な表示により、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するようなことを防止し、一般消費者の利益を保護することを目的としています。
上記のとおり、この法律は「景品」についても規定しているのですが、今回は上記のニュースなどで問題とされている「表示」についてお話しをすることにします。
景品表示法では、商品やサービスの「表示」を行なうにあたって、消費者を不当に誘引するような内容のものを禁止しています。
具体的には、①優良誤認表示と、②有利誤認表示 が禁止されています。
この法律に違反した表示を行なった場合、内閣総理大臣は事業者に対して、行為の差し止めなどを行なうことができる(「措置命令」といいます)とともに、課徴金の納付を命じなければなりません(法7条、8条)。
課徴金の額は義務に違反する行為がされた対象期間に取引をした商品等について、所定の所定の方法で算定された売上の3%とされています(ただし事業者が表示が違反であることを知らず、かつ知らないことにつき、相当の注意を怠ったわけではないような場合には課徴金の納付を命じることはできません)。
したがって、課徴金の納付が命じられる場合には、その金額は相当高額に及ぶことが多いです(例えば、イオン発生機の事案では2864万円の課徴金の納付が命じられています)。
① 優良誤認表示
優良誤認表示とは、
商品または役務(サービスのこと)の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示し、または事実に相違して、当該事業者と同種もしくは類似の商品もしくは役務を提供している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある
…ものです(景品表示法5条1号)。
法律の条文だとわかりにくいですが、簡単にいうと、“実際の商品やサービスの内容よりもいいものである”ということを表示してはならないということです。
上記で紹介した事例でいうと、メロン果汁が100%であるかのような表示をすることは、実際には2%しか果汁がないことからすると、商品の品質が良いと一般消費者が受け取ることになるので、優良誤認表示にあたります。
② 有利誤認表示
有利誤認表示とは、
商品または役務の価格その他の取引条件について、実際のものまたは当該事業者と同種もしくは類似の商品もしくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも、取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある
…ものです(景品表示法5条2号)。
こちらも簡単にいうと、“実際にはそうではないのに、いい取引条件である”ような表示をしてはならないということです。
例えば、先日破産した脱毛サロン運営会社セドナエンタープライズが、「〇月〇日まで乗り換えで最大50%OFF」などの広告をしたものの、実際にはこの期間経過後でも同じような割引が受けられたという事案において、有利誤認表示に当たるとして消費者庁から措置命令を受けました。
この事案では、実際には継続して割引を受けられたのに、今だけ割引を受けられるものとして、消費者に誤解を招くような広告をしたことが問題であるとされたのです。
消費者の心得
インターネットでいろいろな情報に触れることができるようになった現代社会において、インターネットで広告を見て商品やサービスの購入を判断することは多いと思います。
景品表示法の規制がなければ、情報を十分に知ることができない消費者が、正確な判断をすることができません。
今後、私たち消費者が適切な購買判断をするためにも、景品表示法はとても大事な役割を果たしていくことになると思いますが、他方で、私たち自身も商品を購入する際には、十分に気を付けていく必要があります。
投稿者プロフィール
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