この業界に入り、相談として多いのが「住宅ローンの繰り上げ返済」についての質問です。
一般的に住宅ローンは35年でローンを組む方が多いので、30歳以上の年齢でローンを組むと、一般的な定年年齢の65歳を超えます。
定年前までにローンを完済するには繰り上げ返済が必要となり、まとまったお金を返済しないといけません。
「定年までにローンを終わらせたい」という話もよく伺います。ただ昨今はあえて繰り上げ返済をしない方も増えてきています。
今回は「繰り上げ返済は損なのか、得なのか」をテーマに考えていきます。
繰り上げ返済とは
毎月の住宅ローンの支払いとは別に、まとまったお金で住宅ローンの一部、または全部を返済する方法です。
繰り上げ返済分は元本に充てられますので、早ければ早いほど利息の軽減効果は大きくなります。
繰り上げ返済できる金額や手数料は金融機関により異なります。
また、繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2タイプがあります。
「期間短縮型」は住宅ローンの返済期間が短なくなりますが、毎月の返済額は変わりません。
「返済額軽減型」は住宅ローンの返済期間は短くなりませんが、毎月の返済額が軽減されます。
一般的には「期間短縮型」を選ぶ方が多い印象です。
住宅ローンの繰り上げ返済は損?得?
結論から申しますと、個々により判断が分かれるので一概に損とも得ともいえません。
年齢、年収、金利条件、住宅ローン控除の有無、団信や特約団信の有無、お金の貯め方の考え方等により、繰り上げ返済は損なのか得なのか変わるので、個々に当てはめて考えてみないと、結論は出せません。
※特約団信とは、がんや3大疾病等の特定の病気に罹患するとローンが完済される保険です。
繰り上げ返済が損と考える人
● 住宅ローン控除が使える期間は繰り上げ返済をしない(所得税・住民税の還付が減る)
● 住宅ローンの金利は低いから繰り上げ返済分をNISAや保険等で運用したほうが良い
● 団信や特約団信がついているので繰り上げ返済後に万が一のことがあったらもったいない
昨今は新NISAも始まり、運用に興味を持っている方も増えてきているので、「繰り上げ返済をしよう」と思っていたお金を運用に回す選択をする方が多くなってきた印象があります。
また特約団信の条件も良くなっており、「繰り上げ返済をあえてしないと回答する方が昔と比較すると増えてきた」と感じることが多くなりました。
繰り上げ返済を得と考える人
● 確実に利息の軽減効果が期待できるので総返済額を減らせる
● 期間短縮型であれば一定の年齢まででローンが確実に終わる、返済額軽減型であれば毎月の返済額を確実に減らせる
● ローンの支払いの心配がなくなるので、精神的に楽になれる
NISAを使っての運用の場合、利回りは約束されておりませんが、繰り上げ返済をすれば確実に利息の軽減効果が期待できますし、総返済額を減らすことができます。
定年後のローンの心配もなくなりますので、精神的にも楽になります。
繰り上げ返済のタイミング
住宅ローン控除の期間が終わり、NISA等を使っての資産運用も全く考えない、団信のみ加入の人は早く繰り上げ返済をしましょう。
お子様の教育資金のことや老後資金は別途残さないといけませんが、現金で貯めるのであれば、繰り上げ返済したほうが利息の軽減効果が期待できます。
ただし一括で繰り上げ返済をして、その後に万が一のことがあったら大変なので、繰り上げ返済の金額、タイミングは考えないといけません。
住宅ローン控除が使えて、NISA等の運用について検討している方、特約団信にも加入している方は急いで繰り上げ返済せずに、効率的に資産を貯めていくのが良いと思います。
ただ、定年前にはローンを終わらせておいたほうが、精神的にも老後のお金のことを考えても安心かと思いますので、定年前にローンを一括で終わらせるお金を貯めておきましょう。
損・得だけで考えない
マイナス金利政策が解除されたことにより、変動金利でローンを組んでいる方は今後金利条件が変わる可能性があります。
運用もマーケット次第により多きく損益状況は変わります。
繰り上げ返済が損なのか、得なのかは長い期間経過してみないと結論は出ません。
損得だけで深く考えずに、それぞれのご家庭にとって、安心してローンを完済できる方法を考えてみてください。
会社の人や友人をマネするのでなく、個々にあてはめて考えることが大切です。
「自分の場合はどうするのが一番よいのか?」と迷う方は、一度「まちの専門家グループ」にご相談ください。
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