3月に国土交通省より令和7年公示地価が公表されました。
この公示地価とは、毎年1月1日時点の各市区町村の住宅地・商業地・工業地の地価及び変動率を公表するものであり、国土交通省から委嘱された不動産鑑定士が調査して地価の判定を行っております。ちなみに私は現在、三浦半島(横須賀市・逗子市・三浦市・葉山町)の担当を任命されております。
毎年恒例となりましたが、令和7年1月1日時点の公示地価の動向について見ていきます。
まず、全国的な傾向について触れますが、全用途平均が4年連続で上昇し、かつ上昇幅が拡大となりました。
具体的には全国の地価は景気が緩やかに拡大している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど全体としては上昇基調が続いています。
個別の地域に関して、まず三大都市圏平均を見てみますと、全用途平均・住宅地・商業地・工業地ともに東京圏・大阪圏・名古屋圏のいずれも4年連続で上昇していますが、東京圏・大阪圏は上昇幅が拡大したのに対し、名古屋圏は全てで上昇幅が縮小しています。
また地方圏のうち、地方主要四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)の平均変動率は12年連続で上昇したが、上昇幅は縮小しています。
その他の地方圏地域は3年連続で上昇し、上昇幅は昨年と同じという結果になりました。
神奈川県内の動向
住宅地の変動率
県内の住宅地の平均変動率は+3.4%(前年+2.8%)の上昇となりました。

上昇地点が全体の93.6%を占め、こちらも前年の89.4%を上回る結果を示しています。
政令市の状況ですが、横浜市内では西区及び神奈川区で+5%以上、港北区で+4%以上の上昇。
川崎市ではすべての区で前年より上昇率が拡大。
相模原市でも全ての区で上昇率が拡大し、特に橋本駅周辺はリニア中央新幹線事業への期待感より上昇率が高くなっており、中央区・南区で+4%以上の上昇となっています。
政令市以外では藤沢市、大和市で+5%以上、鎌倉市及び海老名市で+4%以上と高い上昇となっています。
その一方で南足柄市・中井町・真鶴町は下落しましたが、下落幅は-1%未満と縮小傾向にあります。

商業地の変動率
商業地に関しても県全体の平均変動率は+6.6%(前年+5.4%)で、上昇地点の占める割合も97.8%と前年の93.3%を上回っています。

政令市の状況に関しては、横浜市は全ての区で上昇し、特に横浜駅周辺と関内駅周辺は再開発等の影響で高い上昇を示しており、中区で+11%以上、西区で+10%という結果となっております。
川崎市でも全ての市で上昇し、特に川崎駅徒歩圏で高層マンション等が立地するエリアの上昇が高くなっており、川崎区では+10%という結果を示しております。
相模原市も全ての区で上昇し、特に住宅地同様に橋本駅周辺の上昇率は高くなっております。
中央区及び南区で+7%以上という結果になっております。政令市以外では茅ケ崎市で+9%以上、鎌倉市で+8%以上、逗子市・厚木市・海老名市で+7%以上と高い伸びを示しています。
特に茅ケ崎市は駅南側の客足が順調で、鎌倉市も観光客が増加していることが要因として挙げられます。

神奈川県内の上昇地点
まずは住宅地の地価上昇率上位5地点です。
【住宅地上昇率上位5地点】
① 横浜市泉区下飯田町字中野丸891番23 (+14.3%、前年度順位10位)
② 横浜市保土ヶ谷区西谷3丁目1127番26(+11.1%、前年度順位1位)
③ 横浜市西区岡野1丁目18番6外(+10.7%、前年度順位13位)
④ 藤沢市辻堂3丁目6353番17外(+10.4%、前年度順位12位)
⑤ 鎌倉市七里ガ浜2丁目1331番158外(+10.2%、前年順位3位)
1位と2位は相鉄線沿線に位置し、1位は駅周辺の再開発、2位は相鉄新横浜線の延伸による利便性の向上により高い地価上昇を示す結果となりました。

一方、住宅地県内ワースト5(下落率の大きい順)では山北町・南足柄市・中井町等の県西部エリアが上位を占める結果になり、地価の二極化傾向が鮮明となりました。
次に商業地の上昇地点、下落地点を見ていきたいと思います。
【商業地上昇率上位5地点】
① 横浜市中区尾上町1丁目4番1外(+17.1%、前年14位)
② 横浜市住吉町1丁目2番外(+17.1%、前年2位)
③ 川崎市川崎区日進町23 番8(+16.0%、前年3位)
④ 川崎市川崎区新川通4 番22(+15.9%、前年5位)
⑤ 川崎市川崎区榎町6番3(+15.5%、前年4位)
商業地に関しては上記で述べたとおり、関内駅ないし川崎駅周辺の地点が上位を独占いたしました。

昨年まで2年連続1位であった横浜市のみなとみらい21地区は企業、大学の進出等が概ねひと段落し、上位10位圏外となりました。
堅調な景気動向で地価が一段と上昇傾向
総括としては、
まず住宅地に関しては都心を中心とした堅調な景気動向に支えられ、神奈川県内も全般的に需要は高まっています。
その中でも、コロナウィルス感染症が終息し、いわゆる「アフターコロナ」時代における住まい選びの条件としては、勤務先への「通いやすさ」だけではなく、「買いやすさ」も比重が大きくなりました。
特に都心まで電車1本で1時間圏内の地域の人気が高まっており、昨年に引き続いて湘南地区の人気は高く、また西谷駅周辺の需要も高まっていることが伺えます。

また商業地に関しては、特にターミナル駅周辺では店舗需要の回復に伴い、地価の上昇が一段と強くなっていることが伺えます。
このような堅調な動向が今後も続くのか、引き続き注視してまた来年ご報告できればと思います。
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