【代償分割②】分割困難な遺産を受け取る方法(デメリット編)

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「代償分割」とは、相続における遺産分割方法のひとつで、

「特定の相続人が分割するのが困難な遺産を相続し、それ以外の相続人が遺産を取得した相続人から代償金を受け取る」

…という内容の分割方法のことをいいます。

被相続人の自宅に同居していた相続人が住み続ける場合や、

農業・事業などに利用する事業用不動産を相続する場合、

法人の経営を引き継ぐために非上場株式を相続する場合

などに利用されることが多い分割方法です。

不動産イメージ

代償分割のデメリット

● 支払いを行う者に相応の資金力が必要になる

● 代償金の算出でトラブルが起きる場合もある

● 贈与税・所得税が発生する場合もある

代償金を支払う相続人に相応の資金力が必要になる

不動産など現物を相続した相続人から、ほかの相続人に支払う代償金は、相続人自身の財産から支払うことになる場合もあります。

かなり重い負担といえるでしょう。

一度に代償金を支払うことができない場合、相続人の間で合意があれば分割で支払うこともできますが、のちに未払いが生じた場合は、ほかの相続人との間でトラブルに発展する可能性があります。

代償分割による代償金が手元になくて支払いを行なえない場合、相続した不動産を担保にして現金を融資してもらうといった方法もあります。
不動産担保ローンを取り扱う金融会社に相談してみるのもひとつの手でしょう。

 

代償金の算出でトラブルが起きる場合もある

代償金の金額を決めるため、不動産や建物などを評価することになります。
代償分割をする場合の代償金の算出には「相続税評価額」や「代償分割時の時価」を中心に、さまざまな方法があります。

当然評価方法によって金額が異なります。
代償金をいくらにするかで意見が分かれ、代償金の金額がなかなか決まらず分割協議がまとまらないことも起こり得ます。

贈与税イメージ

贈与税・所得税が発生する場合もある

基本的には代償金には贈与税は発生しません。ただ、手続きなどに不備があると、贈与とみなされてしまう場合があります。

一つはプラスの財産よりも高い代償金を支払った場合です。

例えば、相続人Aが生命保険金と代償分割により不動産を取得した場合に、Aが相続人Bにその不動産の金額を超える代償金を支払った時は、
その不動産の金額を超える部分が贈与とみなされて、贈与税の課税対象になる可能性があります。

もう一つは、「遺産分割協議書」に代償分割の記載がなかった場合です。

「ほかの相続人への代償金の支払いの際に贈与税が課されるのではないか」と心配する人がいますが、代償金の支払いは贈与ではないため、基本的に贈与税はかかりません。
ただし、「遺産分割協議書」への記載は必要です。

相続人全員が一堂に会して、相続財産の分け方を決める話し合いを「遺産分割協議」、その協議で合意を得た内容を書面にしたものを「遺産分割協議書」といいます。

この遺産分割協議書に「代償分割により代償金を支払う」ときちんと記載しておけば問題ありません。
代償財産の種類や金額、支払い期限などを遺産分割協議書に記載することで贈与ではないことが明確になり、贈与税の課税対象にはならなくなるのです。

この記載が漏れていると、贈与とみなされて贈与税がかかる場合があります。
また、さきほども述べたように、必要以上の金額を支払うと、払いすぎた分が贈与とみなされる可能性があります。

また、代償分割では所得税が課税される場合もあります。

所得税に注意しなければならないのは、代償財産を不動産などで支払う場合です。
代償財産は現金以外での支払いも可能なのですが、代償財産を取得した相続人固有の不動産を代償金に代わってほかの相続人に交付した場合には、不動産の譲渡があったものとして所得税が課税されます。

税金イメージ

このように、「代償分割」には様々なメリット・デメリットがあります。
遺産分割に関するお悩みは、是非、私たち「溝淵司法綜合事務所」にご相談ください。

【代償分割①】分割困難な遺産を受け取る方法(メリット編)

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司法書士法人溝淵司法綜合事務所
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昭和54年の開業以来一貫して「お客様第一」の姿勢を徹底しております。 進化する生活の町「武蔵小杉」を基盤にもっとも身近なリーガルアドバイザーを目指し、総勢35名のスタッフで業務を行っています。 お客様との「信頼関係」それが私たちの財産です。 これからも、お客様のおかげで私たちがあることを忘れずに、お客様第一主義 を徹底いたします。

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