2019年4月1日に施行した改正入管法により、人手不足を外国人労働者で解消しようという動きが活発になってきております。
そこで今回は外国人労働者の労働保険(労災保険・雇用保険)及び社会保険(健康保険・厚生年金)への加入の有無について紹介いたします。
①労災保険
外国人労働者も日本人労働者と同様に労災保険が適用されます。正社員、パートタイマ―、アルバイトといった名称であっても雇用形態に関係なく、すべての労働者は雇用されている事業所で適用されます。このことは、不法就労の外国人であっても同様であり、事業主が使用する外国人の不法就労を知っているか否かにかかわらず適用されます。
事業主が労災保険の成立手続きを怠っていた期間中に労災事故が発生した場合は、事業主に対し遡って保険料が徴収されます。
また、成立手続きを怠っていたことが故意または重大な過失による場合は、労災保険の給付額の100%~40%が追加徴収されることもあります。
これは、被災者が外国人労働者の場合も例外とはなりません。
②雇用保険
適用事業所に雇用される労働者は、外国人も含め、原則として雇用保険の加入者になります。
パートタイマーやアルバイトなどの名称であっても次の要件をすべて満たせば、対象になります。
ただし、昼間部学生(全日制の大学や専修学校など)は卒業見込み証明書があり、卒業後に就職して引き続きその事業所で雇用される場合を除き、原則、雇用保険の対象にはなりません。
◎ 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
◎ 同一の適用事業所に継続して31日以上雇用されることが見込まれること
他方、夜間部学生(通信教育、大学の夜間学部など)の場合は、上記の加入条件を満たしていれば、手続きが必要となります。
また、在留資格が「留学」である外国人学生が「資格外活動」の許可を受けている場合は、週28時間まで働くことはできますが、上述の通り、昼間部学生は原則、雇用保険の被保険者にはなりません。
なお、外国人の場合は日本人と異なり、雇用保険加入の有無に関係なくハローワークへの届出が必要になりますので、必ず「在留カード」により在留資格の種類・期間を確認する必要があります。
③健康保険と厚生年金
健康保険と厚生年金も国籍を問わず、適用事業所に常時使用され、次の要件のいずれをも満たす場合は、加入が必要です。
なお、就労ビザを取得する場合は、常時雇用が前提になりますので、健康保険と厚生年金への加入は実質的に義務となります。
◎ 週の所定労働時間が、社員の4分の3以上であること
◎ 月の所定労働時間が、社員の4分の3以上であること
「資格外活動」許可を受けた留学生や家族滞在の外国人をパートタイマー等で雇った場合はどうでしょうか。
「資格外活動」は週28時間までしか働けないため、加入する義務はないものと考えられます。
しかし、上記のようにその事業所で働いている正社員の所定労働時間と所定労働日数を基準にして、加入の可否を判断することになりますので、4分の3以上である場合は、加入が必要になります。
投稿者プロフィール
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