令和3年7月1日からの大雨により被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。
火災保険の契約期間が2022年度にも現行の最長10年から5年に短縮となる見通しとなりました。
「これを機に火災保険を見直ししよう」と思われた方もいると思いますが、そもそも火災保険とはどのような保険なのか、今一度ご確認頂きたいと思います。
火災保険の補償は大きく分けると「火災」、「家財」、「地震」の3つに分けることができます。
「家が燃えてしまった」などの火災リスクの他に「落雷、破裂・爆発」、「風災・雹災・雪災」、「水災」、「盗難・水濡れ・建物外部からの衝突」、「破損・汚損」等のリスクに対しても補償を付けることができます。
水災を付けている場合、河川の氾濫等による浸水被害(※)だけでなく、大雨による土砂崩れで家に土砂が流れ込み被害に遭った場合や、土砂で家が倒壊した際にも補償の対象となります。近年大雨により水災リスクが高まっていますので、水災を付けていない方は今一度、市区町村が発表しているハザードマップにてご確認いただくと良いと思います。
(※)保険会社によって床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水、もしくは建物評価額(家財は再調達価格)の30%以上の損害が発生した場合など、保険金の支払い基準があります。
近年大雨により水災リスクが高まっていますので、水災を付けていない方は今一度、市区町村が発表しているハザードマップにてご確認いただくのが良いかと思います。
家財は家の中にあるテレビ・ソファー・テーブル・照明・食器・洋服等が該当します。
火災保険では火事になってしまったときや、災害で被害を受けた場合など建物に損害が発生した場合に補償されますが、家財補償を付けていない場合は補償されません。
家財まで守りたい方は建物と合わせて家財補償の加入も必要となります。また、1個または1組の価額が30万円を超えるような貴金属や宝石・書画・骨董・彫刻物・その他の美術品がある場合は、契約時に申告して申込書等に明記しないと家財補償の対象にならない場合があるので注意が必要です(これを明記物件といいます)。
保険会社によっては、貴金属等について100万円まで補償する場合や、オプション特約を付けることで101万円以上の保険金額を設定できることがあります。家族構成や生活スタイルによって家財は変化しますので、加入している補償内容で良いか確認してみてはいかがでしょうか。
地震は「地震による火災・損壊」、「噴火による埋没」、「津波による流失」を補償します。
地震による建物や家財の損害は地震保険に加入していないと、火災保険だけでは補償の対象とならないので注意が必要です。
地震保険は政府と民間の保険会社が共同で運営している公共性の高い保険であることから、補償内容や保険料はどの損害保険会社で加入しても同じ内容となりますが、単独で加入することはできません。必ず保険の対象を同じくする火災保険(主契約)に付帯して契約します。
保険金額は建物、家財ごとに主契約となる火災保険の保険金額30~50%の範囲内(※)で設定できます。つまり建物金額の保険金額が1,500万円であれば、その50%にあたる750万円まで設定が可能です。
(※)建物の場合、5,000万円家財は1,000万円が限度となります。
保険期間は主契約である火災保険に付帯して加入するため、基本的には火災保険の保険期間と一致させることになりますが、保険期間の途中での加入も可能です。ただし5年が最長となります。地震保険の契約期間については今のところ変更の予定はございません。
その他、個人賠償責任保険、類焼損害補償、地震火災保険、仮住い費用補償等、呼び名は各社により異なりますが、別途特約を付けることができます。
以上が火災保険の内容となります。
ここ数年、台風やゲリラ豪雨等自然災害が多発しています。
災害が多ければ、火災保険から支払われる保険金額も大きくなり、損害保険会社の収支は悪化します。その影響もあり、ここ数年火災保険料の値上げが続いております。
損害保険会社からすると10年契約の場合、火災保険料を値上げしても契約期間中は値上げが反映されないため、契約期間を短縮することで保険料の見直しを素早く反映でき、収支改善を急ぎたいという考えがあります。
契約者からすると保険期間が短くなれば、その分値上げの影響を受けやすくなりますので、同じ10年という期間で比較した際のトータルで支払う保険料は5年契約のほうが高くなる可能性が高いです。
現在は10年契約ができますので、火災保険の更新の近い方、1年契約で契約されている方、補償の見直しを検討さている方は早いうちに相談されることをお勧め致します。
なお、契約期間の途中で解約した際には保険料の払込方法によって未経過分の保険料が返金される場合がありますので、詳しくは契約されている損害保険会社にご確認ください。
5年契約となるタイミングについては、今後のニュースを良くご確認のうえ、余裕をもってお手続きしていただきたいと思います。
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