平成32年4月頃に約120年ぶりの抜本改正を予定している民法。
今回より具体的な改正点に触れていきたいと思います。
【債権消滅時効の見直し】
消滅時効とは簡単に言うと、権利をほったらかしにしたまま一定の期間が過ぎると、その権利が消滅してしまうという制度のことです。
例えば借金(債務)をした人(債務者)が夜逃げした後、金融業者(債権者)から請求を受けなかったことで、一定の期間に借金を返済しなかったとします。
その後、債務者が消滅時効の制度を使うことによって、その債務が消滅します。
つまり、借金を返さなくてもよくなったので、一件落着というわけです。
この一定の期間のことを「時効期間」、時効期間のカウントがスタートする時点のことを「起算点」といいます。
消滅時効は「権利をほったらかしにしていると消滅してしまう」という制度なので、ほったらかしにしなければその権利が消えることはありません。
今回の改正案では、時効期間の長さ、起算点がいつか等、重要なルール変更が行われます。
◆時効の期間
現在の民法では,債権(誰かに対してお金や物などを請求する権利)の消滅時効の期間は、原則として10年となっています(民法167条1項)。
例外として、職業別でこれより短い期間の消滅時効があります(職業別の短期消滅時効・同170条から174条)。
例えば、医師の診療報酬請求権の時効期間は3年、弁護士の報酬請求権は2年、飲食店の代金請求権は1年など、細かい区分がされています。
また、民法ではありませんが、商事債権(会社の取引等で生じる債権)の消滅時効は、5年という重要な例外もあります(商事消滅時効・商法522条)。
◆起算点
現在の民法の起算点は、「権利を行使することができる時」です。
例えば、代金に支払期日が定められている場合には、その支払期日到来後から起算することになります。
◆主な改正点
① 現在の民法で定められている「権利を行使することができるときから10年」(客観的起算点と呼ばれます。)というルールに「債権者が権利を行使できることを知ったときから5年」(主観的起算点と呼ばれます)という新たなルールが加わります。
② 職業別の短期消滅時効は廃止されます。 以前から合理性に乏しい、分類が複雑な上に現代社会と合っていない等の指摘があり、 廃止されることになりました。
③ 商事消滅時効も廃止されます。
以上、今回は消滅時効に関する改正内容について触れました。
次回もお楽しみに。
投稿者プロフィール
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