毎冬12月から3月にかけて、インフルエンザが流行します。この時期になると、インフルエンザによる休業の際の賃金や休業期間について、お問合せが増えます。
学校の場合は学校保健安全法により、出席停止期間や学校閉鎖が法律で定められています。しかし職場に関しては直接的な規定がないため、会社ごとで判断するしかありません。では、社員がインフルエンザにかかったとき、会社はどのように対応すればよいのでしょうか。
有給休暇扱い? 欠勤控除? それとも休業手当?
インフルエンザによる休業の場合、ケースによって対処が変わってきます。
① 社員が感染して休業する場合
最も一般的なケースとして、有休が残っていれば有休申請の上、医師の指示する期間を休んでもらいます。有休なのでその間の給与は満額支給します。
しかし、入社したばかりで有休がまだ付与されていない場合、または有休をすべて使い切ってしまった場合は、ノーワークノーペイの原則により休んだ日数に相当する賃金が欠勤控除の対象になります。
もうひとつ、休業手当というものがあります。
労働基準法第26条で定める休業手当とは、『使用者の責めに帰すべき事由』による休業時に平均賃金の6割以上を支払うというもので、インフルエンザに罹患し、医師の診断に基づいて休むのは風邪で休むのと同じなので、休業手当を支払う必要はありません。
ただし、医師による指導等の範囲を超えて休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたり、休業手当を支払う必要があります。
② 家族等が感染して休業する場合
感染者と近くで仕事をしていたり、家族がインフルエンザに感染していたらどうでしょうか?
本人にはインフルエンザ様症状がない場合は職務の継続が可能となると考えられます。
この場合、使用者の自主的判断で休業させるのは、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたり、休業手当を支払う必要があります。
今からできる!インフルエンザ予防
◎ 予防接種
接種後2週間後~5ヶ月ほど効果があります。接種を強制することはできませんが、副作用などを説明した上でルール化します。
費用は会社負担が望ましいですね。または健保組合によっては補助制度がありますので、利用するのがよいでしょう。
◎ 報告義務の徹底
社員がインフルエンザかもしれない場合、その家族がインフルエンザにかかった場合はすぐに報告してもらいます。
中には忙しさのあまり報告をためらう方もいますので、普段から上司・同僚間で相談しやすい職場の雰囲気も大事です。
◎ その他、日常生活全般
予防接種は、インフルエンザの発症(発熱等)・重篤化をおさえる効果がありますが、実は感染そのものを完全に防いでくれるわけではありません。
感染しないためには、日頃の注意が重要になります。外出から戻った際の手洗い、うがい、加湿器や水分補給によるのどの加湿や咳エチケットを周知徹底します。
出入口にアルコール除菌剤を設置したり、マスクの支給も有効です。
つい先日、インフルエンザに感染したバス運転手の追突事故が大きく報道されていました。社員のため、会社のためにもインフルエンザ対策に取り組みましょう!