みなさん。こんにちは。弁護士の佐々木です。
もう夏かというくらい暑くなってきましたね。体調には十分注意しましょう。
さて、今回は個人情報保護法の改正についてお話ししたいと思います。
個人情報保護法は、正式名称を「個人情報の保護等に関する法律」といい、平成12年に制定されました。
日々生活をしているとアンケートに答えたり、会員カードを作ったりと、様々な場面で自分の個人情報を提供することがあるでしょう。
また事業をしている人は少なからず個人情報を取り扱うことになると思います。
個人情報保護法は個人情報の提供や利用に関して規制をする法律として、皆さんの生活に密接に関わるものですが、
今回それが改正されて5月30日に施行されました。
まず、個人情報を取得する側(事業者)にとっての大きな改正点は、
個人情報保護法の適用範囲が拡大し、個人情報を取り扱う全ての事業者に適用されることになったことが挙げられます。
改正前の法律では、直近6か月の個人情報の取扱いが5000件に満たない業者には、個人情報保護法は適用されないようになっていました。
しかし今回の改正によって、このような適用除外規定がなくなったのです。
その結果、当事務所のように5000件を下回る個人情報を取り扱っている事業者などについても個人情報保護法が適用され、
個人情報を管理する場所や方法などを適切にしたり、個人情報を入手する際には利用目的などを予め通知する義務を負うことになったのです。
もっとも、個人事業主や中小企業などが大企業と同じように個人情報を管理することは困難です。
そこで個人情報保護法の改正後にガイドラインが示され、中小企業などは、大企業と同じ程度の義務までは課されないようになっています。
ただし、何もしなくてもいいわけではありませんので、個人情報を取り扱う事業者は一度確認をして、
今後の業務対応を検討しておいた方がよいでしょう。
一方、個人情報を提供する側にとって重要な改正点は、
事業者に対して個人情報の開示や訂正をしてもらうことが裁判所を通じて可能になったことです。
改正前の法律でも、個人情報の開示や訂正を求めることができましたが、
事業者に拒否された場合には、それ以上の請求ができませんでした。
今回の改正では、これが裁判によって可能になりました。
例えば、自分の個人情報がどのように登録されているのかを明らかにしてほしい場合や、
間違って登録されている情報を訂正・削除してほしい場合は、裁判所に申立てて、
実行してもらえるようになったのです。
毎日のように個人情報を事業者に提供している現代社会ですので、
自分の情報については、自分自身でもしっかりと確認する必要があるしょう。
以上の改正点以外にも、今回の改正ではいろいろな点が改正されています。
個人情報保護法が扱っているのは、個人情報という身近なものではありますが、法律自体は複雑です。
事業者にとっても、提供する個人にとっても、しっかりと対応する必要がありますで、
まちの専門家グループの弁護士などに相談するとよいでしょう。
投稿者プロフィール
- フットワークのよさに定評のある40代の弁護士4名からなる法律事務所です。専門・得意分野が幅広いことも強みの一つ。分野の異なる法律事務所で研鑽を積み、税理士等他士業と連携体制も取れております。また、セミナーや講演も積極的に行い、良質なリーガルサービス実現を目指しております。事務所は、交通の便が良いターミナル駅JR・東急各線「武蔵小杉駅」から徒歩5分。首都圏エリアのご相談可能です。
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