所得税の確定申告では、1年間に生じた所得金額を正しく計算し、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、また、取引に伴い作成したり、受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。
そして、一定水準の記帳をして、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて、有利な取扱いが受けられる「青色申告の制度」があります。
青色申告の対象者
青色申告をすることができる人は、
「不動産所得」、「事業所得」、「山林所得」
のある人です。
青色申告の5つの特典
青色申告の主な特典は、次のとおりです。
【1】青色申告特別控除
① 不動産所得または事業所得がある青色申告者で「貸借対照表」および「損益計算書」を確定申告書に添付して、法定申告期限内に提出している場合には、55万円を控除することができます。また、電子帳簿保存または、e-Taxによる電子申告を行なっている場合は65万円を控除することができます。
② 上記①以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得および山林所得を通じて10万円を控除することができます。
【2】青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で、専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
【3】貸倒引当金
事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、売掛金、貸付金などの貸倒れによる損失の見込額として、
「年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5パーセント以下の金額を必要経費として認める」というものです。
ただし、金融業の場合は 3.3パーセントになります(一括評価)。
【4】純損失の繰越しと繰戻し
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合には、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
【5】少額減価償却の特例
取得価格が30万円未満であれば、取得した年に一括で経費に計上できます。
一つの単価が30万円未満であれば、年間で合計300万円まで計上が可能です。
青色申告の手続
① 原則
新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
② 新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
以下のサイトから青色申告承認申請書のPDFがあります。
記事執筆:税理士・小野田英之
投稿者プロフィール
- 当事務所は開業して38年の小規模(所長を含め5人)な事務所です。申告手続きだけではなく、個人事業者・法人のクライアント様には、6カ月の事業期間が経過際に、予想税額をお知らせするなど、納税に備えていただいています。相続税の改正で、今後は相続税を納税しなければならない方が多くなります。ご心配される前に遠慮なく相談してください。
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