【重要土地等調査規制法】法案可決で不動産売買に影響あり?

地球儀

令和3年6月16日のニュースで、「重要土地等調査規制法」(正式名称は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」といい、本稿では「本法」といいます)法案が参議院を通過したとの報道がありました。

今回はこの法律がどういった内容で、私たちの生活にどのように影響を及ぼすのかについてお話したいと思います。

法律の内容

●本法が制定された目的は、国内にある「重要施設」や「国境離島」の土地等が、これらの機能を阻害するために利用されることを防ぐため、こういった土地等の調査をし、利用の規制が行えるようにすることにあります。
本法は自衛隊基地周辺の外国資本による土地取得を問題視し、その規制を求める声から立案されており、国防的な視点による法律と言えるでしょう。
具体的には本法に基づき、内閣総理大臣は閣議決定した基本方針に基づいて、重要施設の敷地の周囲(概ね1000メートル)や国境離島等の区域内に「注視区域」や「特別注視区域」を指定し、
その区域内にある土地や建物の利用に関して、調査や規制ができるようになります。

自衛隊イメージ

●ここで「重要施設」とは…

① 自衛隊や米軍の施設
② 海上保安庁の施設
③ 生活関連施設(国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令で定めるもの)

…とされています。

3つ目の詳細は今後、政令で決まることとされていますが、例えば電気や水道などのライフラインや交通機関などが考えられるものと思われます。
(なお、生活関連施設の定義があいまいであり、後で述べるような強い制限がかかることから、各種団体から本法の成立に対する反対意見が示されていました)

●「注視区域」や「特別注視区域」に指定された土地や建物については、その所有者や賃借人、利用状況などについての調査が行われることになります。そして所有者等に対する報告も義務付けられます(違反すると罰則もあります)。
これらに指定された土地等について、利用者が重要施設等の機能を阻害する行為のために利用し、またそのおそれがある場合には、内閣総理大臣はその利用の停止勧告や命令を行うことができます。
それにより、利用者が損失を受けた場合には、その損失を補償しなければなりません。
さらにこの場合、所有者から買い受けの申し出があれば、国がその土地等を時価で買い受けることになります。
この「特別注視区域」に指定された場合、上記の規制に加え、売買などで所有権を移転するには、事前に当事者の氏名等、土地等の所在、所有権移転後の土地等の利用目的などを、国に届け出なくてはなりません。

施行日

前提として、国会で制定された法律には施行日というものがあります。
施行日に法律の効力が生じることになりますので、今回の法律に基づく対応も施行日以降のものと考えればよいです。
この法律では、施行日を「公布の日から起算して1年3月を超えない範囲内で政令で定める日」とされています。
具体的な日付は今後内閣において決まることになりますが、公布が6月23日になされていますので、来年中(令和4年)には全面的に施行される見通しです。

離島イメージ

生活への影響

本法は注視区域や特別注視区域に指定された土地について、利用等を規制するものです。
ご自身が所有する土地や今後買い受けようとしている土地が、これらの区域に指定されている場合には国による調査がなされますし、売買をする前に所定の事項を届け出なくてはなりません。
利用内容によっては、その中止を求められることもあります。
注視区域等の指定については、官報の公告などがなされますが、自分でも把握し、必要な対応をしなければならないでしょう。

私たちの生活に直ちに影響を及ぼすものかは今後の運用によると思いますが、場合によっては所有している土地の利用等が制限される可能性もあります。

今後の動きに気を付けておくとよいでしょう。

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田中・石原・佐々木法律事務所
田中・石原・佐々木法律事務所
フットワークのよさに定評のある30代の弁護士3名からなる法律事務所です。専門・得意分野が幅広いことも強みの一つ。分野の異なる法律事務所で研鑽を積み、税理士等他士業と連携体制も取れております。また、セミナーや講演も積極的に行い、良質なリーガルサービス実現を目指しております。事務所は、交通の便が良いターミナル駅JR・東急各線「武蔵小杉駅」から徒歩5分。首都圏エリアのご相談可能です。

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