【過失割合】交通事故に遭った場合、ドラレコがあると有利?

最近、多くの自動車にドライブレコーダーが取り付けられていると思います。
もしも交通事故に遭った場合、ドライブレコーダーがあることがどのような意味を持つのか、弁護士の目線からお話ししたいと思います。

ドライブレコーダーについて

ドライブレコーダーとは、車両に搭載される映像や音声記録装置で、運転中の映像や音声を記録する車載カメラです。
主な用途は交通事故やトラブルが発生した際の正確な状況把握や、証拠映像として活用することです。
一言にドライブレコーダーといってもその性能は様々で、エンジンをかけると自動的に録画・録音を開始し、最新の映像を記録し続ける常時録画タイプと、イベント発生時のみ録音されるイベント録画タイプに分かれます。また、映像の解像度や夜間の視認状況などの性能も機器によって異なります。

ドライブレコーダーイメージ

交通事故が起きた場合の損害賠償

ここで交通事故が起きた場合に、どのようにして損害の賠償額が決まってくるかについてお話しします。

交通事故が起きると、物損(車など物の故障があった場合の損害)と人損(怪我や後遺障害があった場合の損害)が発生します。
物損としては修理代や代車費用が、人損としては治療費や休業補償、入通院期間に応じて算定される慰謝料などがあります。

交通事故を発生させた当事者は、双方に生じた損害についてお互いの過失割合の程度に応じて賠償すべき義務を負うことになります。
例えば、XとYが交通事故を起こし、Xの車の修理費用が100万円、Yの車の修理費用が20万円であり、XとYの過失割合が、80:20だったとします。

この場合、XはYに対し、自己の損害100万円の損害の20%にあたる20万円の賠償請求をし、YはXに対し、自己の損害20万円の80%にあたる16万円の賠償請求をすることになります。
実際には、差額分を清算する場合や自己の損害を自分で負担する(保険を使う)など、加入している自動車保険に応じた対応を取ることにはなります。
(ちなみに、保険を使うと等級が下がってしまうことが一般的なため、保険を使って対応した方が経済的かどうかは確認したうえで対応することが望ましいです)

このように、過失割合というのは賠償すべき金額に大きな影響を及ぼすことになります。

ここで、過失割合に関しては、これまでの多くの裁判例を踏まえて類型化がされています。

「民事交通訴訟における過失割合の認定基準」というものが出されており、例えば交差点の事故、追い越し車線での事故等々、事故の類型ごとに基本的な過失割合の基準が示され、個別の事情(停止したか、速度超過がないかなど)による修正を行って過失割合が決まることになります。

交通事故イメージ

ドライブレコーダーの影響

上で述べたように、交通事故において過失割合というのは極めて重要です。
しかしながら、ドライブレコーダーが登場する以前は、交通事故の具体的な態様を事後的に確認することが難しい状況でした。

そのため、交通事故の当事者の言い分が真っ向から食い違い、事故態様を確定することができず、過失割合についての合意ができないため、訴訟になることもしばしばでした。
しかし、ドライブレコーダーの登場により、完全ではないまでも交通事故の状況を確認することができるようになりました。

ですので、これまでに比べると、事故態様が根本から食い違うということはないかもしれません。
もっとも、ドライブレコーダーはすべての状況を残すとは限りませんので、映像として残っていない部分での争いが残る可能性はあります。

ドライブレコーダーイメージ

以上のとおり、

ドライブレコーダーがあるということは、「交通事故が起きた場合の紛争を小さく食い止めることができる可能性を持っている」

と言えるでしょう。

最近では、ドライブレコーダーをつけていると保険料が安くなることもあり、この点からもメリットはあると言えます。
ただし、ドライブレコーダーがあるということは、自分に不利な映像も残るということです。

当然ですが、ご自身が運転をされる際には十分に気を付ける必要があります。ドライブレコーダー設置後も運転にはご注意ください。

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田中・石原・佐々木法律事務所
田中・石原・佐々木法律事務所
フットワークのよさに定評のある40代の弁護士4名からなる法律事務所です。専門・得意分野が幅広いことも強みの一つ。分野の異なる法律事務所で研鑽を積み、税理士等他士業と連携体制も取れております。また、セミナーや講演も積極的に行い、良質なリーガルサービス実現を目指しております。事務所は、交通の便が良いターミナル駅JR・東急各線「武蔵小杉駅」から徒歩5分。首都圏エリアのご相談可能です。

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