7月1日に、国税庁より令和二年度相続税路線価が公表されました。
まず、「相続税路線価」とは何かという説明からですが、相続税の申告の際、相続税が課税される対象になる土地の財産価格を計算する基準となる価格(単価)で、道路ごとに路線価が付けられています。
毎年国税庁より任命された不動産鑑定士が各エリア毎に10人前後のグループを組み、地価動向等について検討を重ね、1月1日時点の路線価が決定されます(私は横須賀市エリアの担当に任命されております)。
路線価は概ね近隣の地価公示価格の80%程度の水準に設定されております。
次に神奈川県内の動向について以下、述べさせていただきます。尚、今回の路線価は2020年1月1日時点のものであるため、コロナウィルスの影響は路線価には反映されておりません。
神奈川県全体では+1.1%。各税務署管内の最高路線価については以下のとおりです。
※各税務署の管轄毎の最高路線価という性質上、話題が商業地に限定されてしまう点をご了承下さい。
令和2年度も県内トップは横浜駅西口バスターミナル前通りで、1平方メートルあたり1,560万円。前年からの上昇率も+34.5%で、前年の+13.3%を大きく上回っており県内トップ。 東京国税局の管轄内エリア(神奈川県のほか東京都、千葉県、山梨県)全体でもトップに立ちました。 本年6月に「JR横浜タワー」が開業し商業店舗や企業の集積が進み、その影響が開業前の時点で強く見込まれて反映された結果となりました。
上昇率の2位は同じ横浜駅周辺の「鶴屋橋北側」で+25.2%。JR横浜タワーからデッキで直結する「鶴屋町ビル」が同時期に開業されており、相乗効果が発揮された結果となりました。
上昇率3位は「川崎駅東口広場通り」で+15.4%。路線価は480万円で横浜駅西口に比べれば落ち着いているものの、横浜駅に次ぐ繁華街として、県内ではトップクラスを維持しています。 横浜市、川崎市以外のエリアの対前年変動率をみてみますと、「鎌倉駅東口駅前通り」は+7.7%、「藤沢駅南口広場通り」は+3.4%、「相模大野駅北口駅前広場通り」は+2.3%等、高い上昇率を維持しています。
一方で「横須賀中央駅前通り」「平塚駅北口広場通り」「本厚木駅北口広場通り」は±0.0%。これらに共通しているのは都心へのベッドタウンとしては60分圏内ぎりぎりに位置しており、競争力がやや弱い点が挙げられます。
このように今後も地価の二極化傾向はより鮮明になっていくものと考えられます。加えて家賃の引き下げやオフィス・店舗ビルの空室増加等、コロナウィルスの影響も今後はより色濃く反映され、 来年は地価変動率に影響が出てくるものと予測されます。
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