【手荷物紛失】ロストバゲージが発生してしまったら?

ロストバゲージのイメージ

空港での手荷物紛失は年間どのくらい発生している?

旅行に行く方の中には空港到着ロビーのターンテーブルを見ながら、自分の荷物が出てくるか不安になったことが一度でもあるのではないでしょうか?

荷物が出て来なかったら、旅行は台無しになってしまいます。
大事な荷物は保証されるのでしょうか?

ロストバゲージが年間どのくらい発生しているのかを示す統計データの一つとして、

「Baggage IT Insights 2024」があります。

これは、SITA(シータ)という、航空業界向けのITソリューションを提供している会社が毎年発行しているレポートです。

同レポートによれば、

「2023年には1,000人の乗客につき7.6個の荷物で取り扱いミスが発生した」

…とあります。

また、この中で荷物が遅れて到着したケースが77%、荷物が紛失あるいは盗難されたケースは5%でした。

荷物が遅れて到着したとしても、旅行先で着る洋服がなかったり、おしゃれをして旅行先を満喫しようとしたのに化粧品が無かったりしたら、せっかくの旅行が台無しになってしまいます。

ロストバゲージ

国際線のロストバゲージについて

それでは、このような場合に航空会社に損害賠償を求めることはできるのでしょうか?

国際線でのロストバゲージについて、日本は「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(モントリオール条約)」を批准しており、同条約によれば、加盟国同士(日本を含む135か国以上)の国際線においては航空会社は、

「紛失した手荷物を発見し、旅客に配達するまでの間に旅客がその代替として購入した商品の費用を最大1,131 SDR(2025年1月のレートで日本円でおよそ22万5,932円)まで完全に補償すること」

が要求されます。

また、紛失後21日目までに発見できなかった場合は「完全に紛失された」と見なされます。

モントリオール条約未加盟国でも、ワルソー条約加盟国(一部のアフリカ・中東諸国)との国際線ではワルソー条約が適用され、1キロ当たり20米ドルの保障がなされます。

また、航空会社の規定により、異なる保証がされる場合もあります。

モントリオール条約では手荷物の紛失・遅延に関する責任は原則として無過失責任(条約が航空会社側の過失を証明する必要がない)ですが、手荷物の欠陥や梱包不良、旅客側の過失または故意があれば、航空会社側の責任が免除される場合があります。

ロストバゲージ

国内線のロストバゲージについて

一方、国内線については条約の適用がないので、各航空会社の約款によりますが、JALやANAでは価格申告のない手荷物及び、身の回り品の賠償限度額は一人当たり15万円が上限となります。

航空会社の保障にはこのように上限があるため、旅行保険やクレジットカードに付帯する保険を併用しておくのが安心です。
また、特に高価な荷物を預けるときには航空会社にも申告をしておくようにしましょう。

保険会社にもよりますが、手荷物遅延保障として1万円から3万円程度、手荷物紛失補償として10万円から50万円の保険が出ることが多いようです。

なお、補償を受ける際には航空会社が発行するPIR(Property Irregularity Report、手荷物事故報告書)が必要になります。

これは荷物が紛失、遅延したことを証明する書類になります。

また、併せて航空会社にも早めに手荷物の紛失を申告し、補償の申請をしましょう。

申請にあたっては、航空券、旅行先で荷物がなかったために購入しなければならなかった商品のレシート、紛失した荷物の購入レシート等が必要になることもあるため、レシートは捨てないようにしましょう。

ロストバゲージ

ショックを最小限に抑えるために

旅行先で荷物がなくなってしまったらショックが大きいと思います。
しかし、

「あらかじめ保険に入っておく」、「荷物が出て来なかったらすぐにPIRを発行してもらう」、

…といった対応でショックをできる限り小さくすることができます。

とはいえ、このような事故はないほうが良いですよね。
ロストバゲージが発生することなく、皆さまの旅が楽しいものになりますように!

投稿者プロフィール

藤田・戸田法律事務所
藤田・戸田法律事務所
●記事執筆:弁護士 藤田香織
●事務所紹介:みなとみらい線 馬車道駅からすぐの当事務所は、さまざまな分野で活躍する4名の弁護士が所属しております。ご利用いただきやすい立地と親しみやすい雰囲気づくりを心掛けております。ご相談いただく事で、少しでもご依頼者さまの心の負担が軽くなるよう、真心を込めてサポートいたします。

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●記事執筆:弁護士 藤田香織 ●事務所紹介:みなとみらい線 馬車道駅からすぐの当事務所は、さまざまな分野で活躍する4名の弁護士が所属しております。ご利用いただきやすい立地と親しみやすい雰囲気づくりを心掛けております。ご相談いただく事で、少しでもご依頼者さまの心の負担が軽くなるよう、真心を込めてサポートいたします。