【国際離婚と相続】手続きはお互いの国で必要なの?

国際離婚イメージ

他の国の人と結婚すると当然、配偶者と離婚し、外国籍を持った配偶者が亡くなって相続が発生するという場合が生じます。日本人の相続であっても、海外に不動産など資産がある場合もあるでしょう。法律は国ごとに存在するため、こうした場合、どこの国の法律によることになるのでしょうか。

今回は国際的な離婚と相続について法律の適用関係をお話ししたいと思います。

● 離婚について

離婚についても、結婚の効力の規定が適用されることになりますので、上記の3つの順に適用される法律が決まることになります。
ただし、夫婦の一方が日本に常居所(人が通常居住している場所)を有する日本人であるときは、日本法によることとされています。ですので、日本人同士が離婚をしようという場合には、海外で生活をしていたとしても日本の法律が適用されることになります。
日本では協議離婚(離婚届の提出)、調停や裁判による離婚という手続を行うことになりますので、日本の法律が適用される場合には、これらの手続をとることになります。

最近ニュースで話題になっていた福原愛さんが台湾人の夫と離婚する場合、福原さんが台湾にいる場合には、常居所地である台湾の法律によることになりそうです。
他方、福原さんが日本に帰国してずっと生活するのであれば、日本の法律によって離婚手続ができるように思われます。
ちなみに、上記のとおり、婚姻関係の成立は国ごととなりますので、仮に日本では結婚していたとしても、相手の国では結婚はしていないということもあり得ます。この場合は日本で離婚手続をとるだけで大丈夫です。逆に、双方の国で結婚している場合には、双方の国で離婚手続をする必要があります。
過去、私は日本人と韓国人の協議離婚を担当した際には日本での離婚届の提出と、韓国法に基づく手続をそれぞれ取ったことがあります。

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● 相続について

① 相続や遺言について、通則法は被相続人の本国法によることとしています。
このため、亡くなった人がどこの国の人かによって判断することとなり、亡くなった方が日本人であれば、死亡時に海外に住んでいた場合であっても日本の法律に基づいて相続を行うことになります。
相続人(子供など)が海外の国籍を有している場合でも、このことは変わりません。
他方、日本国内で外国の方が亡くなられた場合、上記の規定からすればその国の法律によることになりそうです。
ただこの場合でも、その国の法律において、相続に関して日本法を適用する(居住している国の法律を適用するなど)場合には、この相続についても日本法が適用されています(これを「反致」(ハンチ)といいます)。なお、結婚や離婚に関しては、反致の規定は適用されません。

② 日本の法律では、遺産がある場合には相続人が遺産分割協議を行うことで足ります。
しかし、遺産の中に海外の不動産や預金口座があるような場合には、これだけでは相続に基づいて名義を変更することはできません。
それぞれの財産の名義移転などの手続を行う際に、上記の法律が当然に適用されるわけではなかったりするためです。
ですので、相続においてある相続人が海外の不動産を取得したとしても、その不動産の名義などの扱いについては、改めてその国の法律などを確認する必要があるのです(国によっては、動産と不動産を別の準拠法を適用させるところもあります)。

③ 海外の財産の名義変更を行う場合、裁判所の手続(検認など)が必要となることもあります。
その国の専門家(弁護士など)に相談、依頼する必要が生じることもありますが、1年以上の期間がかかったり、100万円以上の費用が掛かることもあります。
ですので、海外に資産を持つ場合、相続手続がどうなるのかにも気を付けておきたいところです。例えば、その国の方法により遺言をしておくことも考えられるかもしれませんが、いずれにせよ、相続のことまで考えて専門家に相談しておいた方がよいでしょう。

● 結びに

国際結婚などは以前に比べて本当に身近なものになり、海外の資産を保有することも以前より簡単になりました。
今後は、みなさんにも関わってくるかもしれません。この場合には日本の法律だけで解決できないこともあり、複雑になることもありますので、必要に応じて弁護士など、まちの専門家グループの専門家に相談しながら行うとよいでしょう。

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田中・石原・佐々木法律事務所
田中・石原・佐々木法律事務所
フットワークのよさに定評のある30代の弁護士3名からなる法律事務所です。専門・得意分野が幅広いことも強みの一つ。分野の異なる法律事務所で研鑽を積み、税理士等他士業と連携体制も取れております。また、セミナーや講演も積極的に行い、良質なリーガルサービス実現を目指しております。事務所は、交通の便が良いターミナル駅JR・東急各線「武蔵小杉駅」から徒歩5分。首都圏エリアのご相談可能です。

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