最近では、日本人が他の国の人と結婚することが一般的になってきました。
法律というのは国ごとに存在するため、国際結婚の場合、どこの国の法律によることになるのか、疑問に思われたこともあるのではないでしょうか。
今回は国際結婚について、法律の適用関係をお話ししたいと思います。
●国籍について
まず、その人がどこの国の人かを決めるにあたっては、国籍法が規定しています。
国籍法では、父母の一方が日本人である場合などに日本の国籍を取得することになります。また、外国の人であっても一定の要件を満たせば帰化することができ、帰化すれば日本の国籍を取得します。
日本では複数の国籍を持つことは認められていませんが、他の国では複数の国籍を持つことが認められている国もあります。
このようにして国籍が決まりますが、その人が国籍を有する国の法律を「本国法」といいます。
●国際的な法律の適用関係について
国際的な法律行為(例えば日本人と外国人との契約や国際結婚など)など、どの国の法律を適用するか(これを「準拠法」といいます)については、「法の適用に関する通則法」(通則法)で定められています。
このため、今回お話しする国際結婚や国際相続の場合もこの通則法によって、どこの法律が適用されるのかが決まります。
●結婚について
通則法は結婚の方式と効力について、それぞれ以下のとおりとしています。結婚、つまり婚姻関係にあるかは国ごとに判断されることになりますので、日本では結婚していても、配偶者の本国では婚姻関係にはないということもあります。
【結婚の要件】
結婚が可能な年齢など、結婚の要件について、通則法では各当事者についてその本国法によるとされています。
ですので、日本法で婚姻適齢(男性16歳、女性18歳ですが、2022年から男女ともに18歳となります)に達していれば、配偶者の国の婚姻適齢が何歳かにかかわらず結婚することが認められます。
【結婚の方式】
結婚の方式は婚姻を行う場所の法律によることとされています。つまり、日本で結婚する場合には日本法に基づき、婚姻届を提出することとなります。
また通則法では、当事者の一方の本国法に適合する方式であれば結婚として有効であるとされています。例えば、アメリカ人とフランス人が日本国内で結婚をする場合、アメリカまたはフランスの方式で結婚しても、方式としては有効となります。
ただし、この場合も日本国内の結婚で、一方が日本人の場合には必ず日本法によらなければならないとされています。
【結婚の効力】
日本においては結婚をすると、夫婦はいずれかの姓(名字)を名乗ることになります。また、結婚をすると未成年であっても、契約などをする場合には成人として扱われることなり、夫婦は同居し互いに扶助する義務を負うなどの法的効力が生じることになります。
他方、外国では夫婦が別姓であったり、必ずしも日本と同じではありません。
この通則法は結婚の効力に関して、
① 夫婦の本国法が同じときはその法律
② 夫婦が常に居住している土地の法律が同じときはその法律
③ これらがないときは夫婦にとって最も密接な関係がある土地の法律によることとしています。
したがって、日本で生活しているアメリカ人夫婦の結婚の効力はアメリカの法律によって決まることになり、アメリカに住んでいる日本人夫婦は日本の法律によることになります。
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