7月1日に国税庁より「令和6年度相続税路線価」が公表されました。
まず、「相続税路線価とは何か?」という説明から始めます。
相続税申告の際、相続税の課税対象になる土地の価格を計算する際に基準となる価格(単価)で、道路ごとに1㎡あたりの価格が付けられています。
これを路線価といいます。
路線価の決定にあたっては、毎年国税庁より任命された不動産鑑定士が各エリア毎に10~15人程度のグループを組み、地価動向について検討を重ねた結果を各税務署で検討した結果、1月1日時点の路線価として公表されるというプロセスとなります(私は現在、横須賀市エリアの担当に任命されております)。
路線価は概ね近隣の地価公示価格の80%程度の水準に設定されております。
早速、神奈川県全般の路線価の動向を見てみますが、平均で3.6%の上昇となりました(前年度は+2.0%)。
3年連続で上昇傾向にあり、さらに上昇幅も拡大しています。
神奈川県内には18税務署がありますが、その全ての署内で平均価格が上昇しており、特に保土ヶ谷や神奈川など6署管内で上昇率が10%を超える結果となったのは注目すべき点です。
コロナ禍からの反動で商業地への人流も回復し、また住宅地も都心へのアクセスの良好なエリアを中心に需要が旺盛になっていることが伺えます。
以下にて、神奈川県内の路線価上位3地点と、上昇率上位3地点を見てみようと思います(路線価上位、上昇率上位というランキングの性質上、話題が商業地に限定されてしまう点をご了承ください)。
県内路線価上位3地点
【1位】 横浜西口バスターミナル通り(横浜市西区) 16,960,000円/㎡、+0.6%
1位は5年連続で首位をキープしています。
令和2年に駅ビル「JR横浜タワー」が竣工し、県内でも屈指の繁華性の高さを誇ります。
駅前エリアでは本年6月に横浜駅きた西口直結の「THE YOKOHAMA FRONT」の商業エリアも開業し、今後はさらなる地価の上昇も予測されます。
【2位】 川崎駅東口広場通り(川崎市川崎区) 6,060,000円/㎡、+7.8%
2位も県内では著名な商業エリアである川崎駅東口の駅前広場です。
令和3年に竣工した「JR川崎タワー」を中心とした再開発が進み、繁華性がますます高まっております。
【3位】 市道高島台107号線=鶴屋橋北側(横浜市神奈川区)4,040,000円/㎡、+14.1%
3位はJR横浜タワーからデッキで直結する「鶴屋町ビル」が令和2年6月に開業したエリアで、以来好調を維持し「横浜の顔」のひとつとして高いステータス性を維持しています。
県内上昇率上位3地点
【1位】 二俣川駅南口駅前通り(横浜市旭区) 730,000円/㎡、+15.9%
1位は昨年に「相鉄・東横直通線(新横浜線)」が開通し、都心へのアクセスが向上したことが非常に影響が大きく、
また、昨年秋に駅前商業施設「ジョイナステラス3」のリニューアルオープン等もあり、賑わいを見せております。
【2位】 鎌倉駅東口駅前通り(鎌倉市)1,680,000円/㎡、+14.3%
2位はインバウンド需要の回復が多い鎌倉駅の小町通りの入り口付近のエリアがランクインしております。
現在ではオーバーツーリズムの代表地になるほどの賑わいが戻っています。
【3位】 市道高島台107号線=鶴屋橋北側(横浜市神奈川区)4,040,000円/㎡、+14.1%
3位は県内路線価上位でも3位にランクインされたエリアです。
当該エリアは昨年・一昨年は地価上昇率が1位でした(一昨年:+6.0%、昨年:+14.2%)。
全体的に高い上昇傾向
住宅地に関して簡単に触れておきますと、商業地ほどの上昇率ではないですが、総じて上昇傾向にあり堅調です。
人件費や資材費の価格高騰などにより、近年東京を中心に周辺県でもマンション価格等の高騰は著しく、戸建住宅も総じて上昇傾向にあります。
今後は為替変動や金利の動向に注視すべきですが、首都圏での不動産業者の用地取得競争の加熱化も見られるため、当面はさらなく価格高騰も予測されます。
ただし、いずれ調整局面に入ることも考慮すべきと考えます。
来年以降もこの傾向が続くのか、今後も引き続き、注視していきたいと思います。
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