7月1日に国税庁より「令和5年度相続税路線価」が公表されました。
まず、「相続税路線価」とは何かという説明からですが、
相続税申告の際、相続税の課税対象になる土地の価格を計算する際に基準となる価格(単価)で、道路ごとに路線価が付けられています。
毎年国税庁より任命された不動産鑑定士が、各エリア毎に10~15人程度のグループを組み、地価動向等について検討を重ね、1月1日時点の路線価が決定されます。
(私は現在、横須賀市エリアの担当に任命されております)
路線価は概ね近隣の地価公示価格、80%程度の水準に設定されております。
次に神奈川県全般の動向ですが、平均で前年比2.0%上昇いたしました。
2年ぶりに上昇した昨年他0.6%だったので上昇幅は拡大しました。
新型コロナウイルスの影響で前年は下落となっていましたが、感染状況が改善し、人流回復などの期待から上昇に転じる地点が多くなりました。
各税務署管内の最高路線価の上昇率上位10地点については、以下のとおりです。
※各税務署の管轄ごとの最高路線価という性質上、話題が商業地に限定されてしまう点をご了承ください。
JR横浜タワー
上昇率で県内トップに立ったのは、前年に引き続き、横浜駅周辺の「鶴屋橋北側」で+14.2%
前年が+6.0%だったので上昇率が倍以上となりました。
JR横浜タワーからデッキで直結する「鶴屋町ビル」が令和2年6月に開業されて以来、引き続き好調で、「横浜の顔」として高いステータス性を維持していることが伺えます。
厚木駅前
上昇率2位は、前年3位だった「本厚木駅北口広場通り」で+12.2%。
「2021年 LIFULL HOME’S 住みたい街ランキング(首都圏版)」において、本厚木駅は「借りて住みたい街」:第1位・「買って住みたい街」:第6位にランクインされております。
特に「借りて住みたい街」は3年連続の第一位となっており、Withコロナでの生活を契機として、利便性とコストのバランスが取れた郊外エリアとしての人気が、すでに確立しているものと見ることができます。
川崎駅東口広場通り
3位は前年2位であった「川崎駅東口広場通り」で+5.9%。
川崎駅周辺は一昨年の「JR川崎タワー」を中心とした再開発も進み、ますます繁華性が高まっております。
全般的な傾向としては県内で昨年3か所あった横ばい地点(横須賀、平塚、小田原)がなくなり、全て上昇に転じました。
しかし、
小田原(小田原駅東口駅前通り、+2.9%)
横須賀(横須賀中央駅前通り、+2.8%)
大和(海老名駅東口駅前通り、+2.5%)
相模原(相模大野駅北口駅前広場通り、+2.2%)
など、上昇率が弱いエリアも多く、利便性や繁華性などによる二極化も進んでいる印象も受けました。
新型コロナウィルスも収束を見せつつあり、インバウンド需要の回復も期待される中、来年以降どのような変化が見られるのか、今後も注視していきたいと思います。
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