2021年8月1日より介護保険法の改正が行われました。
団塊の世代が2022年度から75歳以上となりはじめ、2025年度には全員が75歳以上に到達することから、今後も急速に介護費が増加していくと考えられます。
こうした背景もあり、必要なサービスを必要な方に提供しつつ、負担の公平性と制度の持続可能性を高める観点から以下の2点が変更となりました。
① 高額介護サービス費の上限の引き上げ
② 介護保険施設入居者・ショートステイ利用者の所得要件と資産要件の基準見直しと食費の自己負担額の見直し
それぞれ、どのような変更があったのかを確認していきます。
① 高額介護サービス費の上限の引き上げ
高額介護サービス費とは、月単位の介護保険サービス費の自己負担額が上限を超えた場合、超過分の払い戻しを受けられる制度です。
これまで「本人または世帯全員が住民税課税者」であった場合、自己負担額の上限は一律44,400円でしたが、医療保険の高額療養費制度に合わせ、
2021年8月1日より、一定年収以上の高所得世帯については負担限度額が以下のとおり見直しされます。
● 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上
➡ 負担の上限額(月額)140,100円(世帯)
● 課税所得380万円(年収770万円)~課税所得690万円(年収1,160万円)未満
➡ 負担の上限額(月額)93,000円(世帯)
見直しの対象となるのは、課税所得380万円(年収約770万円)以上の65歳以上の方がいる場合が対象となり、上記に該当しない方は今までと上限に変更はありません。
② 介護保険施設入居者・ショートステイ利用者の所得要件と資産要件の基準見直しと食費の自己負担額の見直し
介護保険施設を利用する場合、サービスの利用者負担(1割~3割)の他に、施設等における食費と居住費(滞在費)が、原則として全額自己負担となります。
ただし、一定の低所得要件を満たした方を対象に、所得に応じた限度額を設け、食費と居住費(滞在費)を軽減することができますが、
在宅で暮らす方や保険料負担者との公平性を高めるため、2021年8月1日より所得要件と資産要件の基準見直しと食費の負担額の見直しが行われます。
【1】利用者負担段階の現行第3段階が分割され、「第3段階①」「第3段階②」が新設
【2】所得要件と資産要件の変更
【3】食費の自己負担額の見直し
なお、居住費の自己負担額の見直しはありません。
年金収入+所得によっては食費が今までの倍以上となる方もおり、負担増を感じる方も多いかと思います。
今回の改正は低所得者に世帯にとっては厳しい内容といえます。
介護保険法は3年に1度見直しされますが、介護施設に入りたくても経済的理由で加入できない、利用できない時代になるのかもしれません。
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