すごく見に行きたかったコンサートや公演のチケットが売り切れてしまって、悔しい思いをすること、皆さんもありますか?
私は大好きなミュージカルのチケットが、先行の抽選でも外れ、一般販売でも買えず、あっという間に売り切れて悲しい思いをしたことが何度もあります。
そんなプラチナチケットが定価の何倍もの値段で売っていたらどうでしょう?
思わず買いたくなってしまいますが、このような行為は問題にならないのでしょうか?
今回はこのようなチケットの不正転売についてお話しします。
チケット不正転売の禁止
チケットの不正転売が社会的な問題になったことを受け、いわゆる「チケット不正転売禁止法」が、平成30年に公布され、令和元年6月14日から施行されました。
この法律では一定の要件を備えた入場券について、不正転売を行なった者に、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するとの処罰規定がおかれています。
不正転売を行なっただけで懲役刑を科されることがあるのです。
では、「不正転売」とはどのようなことを指すのでしょう。
法律では
「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう。」
と規定されています。
定価以上での転売を商売として行なうと、いわゆる「不正売買」にあたります。
また、転売目的でチケットを買う行為は詐欺罪にあたり、さらに重い「10年以下の懲役」に処せられます(刑法246条)。
高額転売業者からチケットを買った場合
プラチナチケットを、高額転売業者から買うことはどうでしょうか?
これもお勧めしません。
興行主がチケットの転売を禁止している場合、転売されたチケットは無効とされ、入場できない恐れがあります。
せっかく高額で買ったのに、チケットがただの紙切れになってしまいます。
また、お金を振り込んだのにチケットが届かない等のトラブルも多く発生しています。
さらに、最近ではコロナ等で公演中止となることも多いですが、公演中止になった際にチケットの返金をしてもらえなかったり、チケットの返金をしてもらえても定額分の金額しか返ってきません。
高額転売業者からチケットを買ってトラブルになるケースは後を絶ちません。
また、チケットを高額で買ってしまう消費者がいると、チケットを転売する人は転売が儲かると考え、何度でも高額転売を繰り返します。
チケットの高額転売をなくすためにも、高額チケットに手を出すことは避けましょう。
急に都合が悪くなってチケットを売りたい
一方で、行く予定だった公演のチケットを買ったけれど都合がつかなくなってしまう場合もあります。
この場合に、買ったチケットを定額あるいは定額以下で売ることは許されるでしょうか?
チケット不正販売禁止法は、定額以上での転売を禁止していえるため、チケットを定価で譲ることは罰則の対象にはなりません。
ただし、チケットサイトやチケットの券面に「チケット購入者のみが入場できます」等と記載されている場合等には、譲った相手が入場できないといったこともあります。
このようなトラブルを避けるために、公式のリセールサイトがある場合には、そちらを利用するようにしましょう。
ただし、チケット販売会社によっては公式のリセールサイトがなく、急に都合がつかなくなった場合にチケットを無駄にせざるを得ない場合もあります。
各興行主には、一刻も早く、使いやすく公式であることが明確なリセールサイトを整備する(あるいは既存のリセールサイトを公式のものと明示する)よう望むものです。
投稿者プロフィール
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●記事執筆:弁護士 藤田香織
●事務所紹介:みなとみらい線 馬車道駅からすぐの当事務所は、さまざまな分野で活躍する4名の弁護士が所属しております。ご利用いただきやすい立地と親しみやすい雰囲気づくりを心掛けております。ご相談いただく事で、少しでもご依頼者さまの心の負担が軽くなるよう、真心を込めてサポートいたします。
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