近年、様々なSNSが普及し、インターネット上で誰でも意見を発信することができるようになっています。様々な人の考えていることが分かったり、遠く離れた人と友人になれたり、良いこともたくさんありますが、一方でインターネット上での誹謗中傷が問題になることもあります。
インターネット上では匿名で発信することもでき、一見すると誰が書き込んだかが分からないため、対面での発信に比べて言葉がきつくなりやすい傾向にあります。
また、悪意を持った人に個人情報をさらされるという事案も発生しています。
このようなインターネット上での被害に遭った場合に、どうすれば良いのでしょうか。また、どこまでが許される批判で、どこからが違法になるのでしょうか。具体例を見ていきましょう。
例えば、「○○さんは不倫をしている」「○○さんは泥棒だ」といった、社会的評価を低下させるような中傷を個人が特定される形でインターネット上で行なえば、その内容が例え事実であったとしても、名誉毀損罪(刑法230条)に該当し、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科されることがありますし、民事での損害賠償請求がされることもあります。
事実を記載せず、「バカ」「デブ」「きもい」などの中傷文言だけだったとしても、侮辱罪(刑法231条)として、一年以下の懲役もしくは禁錮若しくは30年以下の罰金または拘留もしくは科料が科されることがあります。
また「死ね」「殺す」などと、相手方またはその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対し、害を加える旨を告知して人を脅迫すれば、脅迫罪に該当し(刑法222条)2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
わいせつ画像のアップロードや、著作権を侵害する投稿も公然わいせつ罪や児童買春・ポルノ禁止法違反、著作権法違反で刑事訴追や民事での損害賠償を受けます。
インターネット上だからと言って、何を言っても許されるわけではなく、このような被害を受けた場合には警察に告訴したり、民事で損害賠償請求を行なうことができます。
また、発言が行なわれたSNSやインターネットの管理者に対して、このような誹謗中傷の削除を求めることもできます。
誹謗中傷された場合には、まずはインターネット上の情報の削除を求め、これ以上被害を拡散しないようにする必要があります。
まずは当該投稿がされているSNSやコンテンツの管理・運営者に対して、情報の削除を求めます。
Twitterやインスタグラム等のSNSは、被害を報告し、削除を求めるためのフォーム(報告ページ)があるので、フォームを使って報告し、これがない場合や、フォームでの報告では削除されない場合には、直接サイト運営者に削除を求めます。裁判上で請求することもあります。
次に、誹謗中傷した人に対して責任追及をしていくことが考えられます。
SNSやインターネット上の発言は、発言者が誰か明かされないまま行なわれている場合もあります。
その場合にはプロバイダ責任制限法に基づいて、コンテンツプロバイダ等に発信者の情報の開示を請求し、書き込んだ者の氏名や連絡先の開示を求めることができます。
しかし、投稿の保存期間は一般に3カ月から6カ月程度と短く、迅速に動く必要があります。裁判手続を使うことが多いため、弁護士などに相談をして、開示請求を依頼することも考えられます。
SNSやインターネット上の誹謗中傷を受けた場合、必ず受けた誹謗中傷を証拠化するようにしましょう。
WEBページを紙媒体にプリントアウトしたり、WEBページに表示されている画像をスクリーンショット等で保存します。
このとき、WEBページのURLと、閲覧した日付が残るようにしましょう。
インターネット上で誹謗中傷を受けたとしても、泣き寝入りすることはありません。
誰が書き込んだかがわからなくても、責任追及をする方法はあります。
今後、同じような誹謗中傷に遭わないためにも、早めに弁護士などに相談して、誹謗中傷の削除、開示請求と責任追及をすることをおすすめします。
投稿者プロフィール
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●記事執筆:弁護士 藤田香織
●事務所紹介:みなとみらい線 馬車道駅からすぐの当事務所は、さまざまな分野で活躍する4名の弁護士が所属しております。ご利用いただきやすい立地と親しみやすい雰囲気づくりを心掛けております。ご相談いただく事で、少しでもご依頼者さまの心の負担が軽くなるよう、真心を込めてサポートいたします。
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