「セルフメディケーション税制」は確定申告をする際に1年の間で購入した医薬品の金額を申告することで、その一部が所得から控除される制度です。
この制度は令和3年に改正され、対象となる医薬品や申告時に必要な書類等に変更が生じています。
今回の記事では、「セルフメディケーション税制」とはなにか、そして今回の改正によってどのように変わるのか…について解説いたします。
セルフメディケーションについて
そもそもセルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」をいいます。
セルフメディケーションを推進することで、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進され、医療費の適正化にもつながります。このセルフメディケーションを推進するために創設されたのが「セルフメディケーション税制」です。
セルフメディケーション税制について
セルフメディケーション税制とは、1月1日から12月31日までの間に、自己または同一生計の配偶者その他の親族にかかる一定のスイッチOTC医薬品(市販の薬)を購入した場合に、
その支払った購入額の合計額が12,000円を超える部分の金額(最大88,000円)を、その年分の総所得金額等から控除することができる制度です。
病院の診察代や処方箋代を所得から控除することのできる医療費控除と、どちらか一方のみを選択して適用することができるため、病院代はそこまでかからないものの、
市販の薬を買うことの多い30代~40代が使うことの多い制度です。
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品について
次に改正によって対象となった医薬品と、対象とならなくなった医薬品についてです。
従来のセルフメディケーション税制では、前述したようにスイッチOTC医薬品を購入した際に適用することができます。このスイッチOTC医薬品とは、もともと病院や歯医者で使用されたり処方されたりすることを目的としていた医薬品から、処方箋がなくても薬局で購入できるように転用された医薬品のことをいいます。
しかし、令和3年度の税制改正により、スイッチOTC医薬品の中でも医療費適正化の効果が低いと認められるものがセルフメディケーション税制から除外され、スイッチOTC医薬品以外の一般用医薬品で、医療費適正化の効果が著しく高いと認められるものを対象に加えるようになります。
「これだけでは実際に薬を買うときに対象の商品かどうかの基準が具体的にわからない」と思う方もいるかもしれませんが、対象商品のパッケージや購入時のレシートには対象商品である旨が記載されているので、それを見て判断することができます。
改正後に対象商品でなくなる商品に対象商品である旨が印字された商品が出回っていることも想定されますが、令和7年12月31日までは経過措置が適用され、
その期間は税制改正によって対象外になった、スイッチOTC医薬品もセルフメディケーション税制を適用することができるため、問題なく申告することができます。
適用期間・適用要件について
改正前までの適用期間は令和3年12月31日までとなっていましたが、今回の改正により令和8年12月31日までとなりました。また適用要件として、改正前はe-TAXを使わないで確定申告する際に、予防接種や健康診断などの健康の維持や病気の予防の取り組みに関する書類を添付することとなっていましたが、改正後は全ての場合において、添付が不要となりました。
ただし、確定申告期限から5年間は税務署から提示または提出を求められることがあるので、これらの書類を保存する必要があります。
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