「ウッドショック」とは、現在起こっている木材価格の高騰のことを指します。
新型コロナの影響の1つとして、世界的な木材不足と価格の高騰が大きな問題となっています。
1970年代の石油価格高騰の「オイルショック」になぞらえ、このように呼ばれています。ウッドショックは木材危機と言えるかもしれません。
木材の多くを輸入に頼っている日本にも大きな影響を与えています。今回は、建設業界にとっても大きな問題であるウッドショックとその影響について記します。
ウッドショックの原因はアメリカ政府が低金利政策を行ったことにより、アメリカから世界へ広がりました。
コロナの影響で落ち込んだ住宅需要を立て直す目的で、住宅建築需要の増加だといわれています。
結果的にはコロナによって、自宅で過ごす時間が増えたことも重なり、大きな需要がうまれました。
そして住宅建築の需要が急激にそして大量に発生したことにより、建築用の木材の需要も増え、価格の高騰がおこったのです。
日本では日本銀行の発表した企業物価指数を見てみると木材・木製品・林産物の価格が2021年3月より急激に上昇しています。
2015年を100と置いた指数においては、2021年9月の集成材が237.7、製材が236.7となり2倍をゆうに超える数値となっています。
日本は木材の多くを輸入に頼っていること、国産の木材もすぐに増産できないことから日本におけるウッドショックは長期化しそうです。
そして建設業界では当初の見積りよりも着工時の木材価格が高騰してしまったため、建築コストが上昇してしまう事態が発生しています。
発注者の再検討にも時間がかかり、施工スケジュールが遅れ、建築そのものの価格が高くなることで契約不成立になるなど様々な面から影響がでています。
林野庁によると木材自給率は約40%で、残りの60%程は輸入に頼っているとされています。
輸入先は順に、カナダ・ロシア・ スウェーデン・ フィンランド・ チリとなっており、その中でも、カナダからの輸入割合が全体の約4分の1に占めています。
木造の平家などの木材を多く使用する建物、大規模な公共施設の施工への影響は大きく建材だけにとどまらず、足場や型枠用の木材も不足している状態です。
このため輸入材ではなく、国産材の需要が高まっています。
林野庁は国産の木材供給を強化すべく努めていますが、現在のウッドショックを解決するにはあまりにも時間がかかります。
今回のウッドショックは長期化すると思われましたが、実はアメリカではコロナが落ち着いたことで消費が多方面へシフトし、木材価格も落ち着きつつあります。
しかし、中国では住宅需要はいまだ高いことに加え、住宅以外にも多く木材を使用している点、木材輸入時に使用する世界的なコンテナ船不足による輸送費の高騰など、ウッドショックを深刻化させている要素は残ったままであるのも現状です。
さらに、ウクライナ危機による影響も懸念されます。
ロシアは資源を提供する側ですが、経済制裁等の報復としてロシアの方から資源供給がストップするかもしれません。
ロシアからの輸入の代替先を見つけなくてはなりませんが、世界的な木材不足により難しい状況です。
2022年4月の時点では、ロシア側からの輸出停止は行なわれていませんが、欧州では自主的に紛争地域からの木材供給を減らす動きがあるようです。
また、経済制裁によりロシアとの決済が出来ずに、さらに輸入が困難になる可能性があり、先行きは不透明と思われます。
建築コストを抑えるために設計の変更をするのか、はたまた高騰した分の上乗せコストを顧客に負担してもらうのか。
会社によって使用木材も異なり、さまざまな事情はあるかと思いますが、 日本では海外の動向によって大きな価格変動が起こってしまいます。
今後しばらくは業界や木材価格の動向をしっかりチェックしながら、自社に必要な対策を講じていく必要がありそうです。
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