法的問題よりも模倣騒ぎが先行~五輪エンブレム問題~

2020年東京五輪の公式エンブレムで当初採用されたものが、ベルギーのエージュ劇場のロゴに類似しているとの指摘がなされ、そのエンブレムの使用が中止となりました。

このためエンブレムデザインの再公募が行なわれ、来春までに新しいエンブレムが選考、発表されることになっています。

問題の五輪エンブレムと劇場ロゴを見比べると、「似ている」と感じる人は多いと思います。

両者とも、中心に縦長の長方形を描き、この長方形の上端左側及び、下端右側にそれぞれ一片を円弧状とした変形三角形を描いている点が類似性を強めています。

このように感覚的には一見似ているのですが、これを商標としての観点、あるいは著作物としての観点からその類似性を観察すると、「類似していない」という結論になると思います。

つまり、五輪エンブレムにおいては、変形三角形が長方形にほぼ接しているのに対し、劇場ロゴにおいてはそれが長方形に接しておらず、離れている点に相違があります。

また五輪エンブレムには日の丸を表すと思われるマル形状が、長方形の上端右側に接して配置されているのに対し、劇場ロゴにはそのようなマル形状がない点において相違があり、これらの相違点に基づき、両者は類似していないと考えられます。

劇場ロゴは商標登録されていないようですが、仮に登録されているとしても先に述べましたように、両者は類似していないと思われますので、このような理由から商標権侵害の問題はないと考えられます。

また同様の理由で、五輪エンブレムが劇場ロゴの著作権を侵害することもないと考えられます。

結局、法的問題よりも模倣騒ぎが先行してしまった感があります。

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アルス国際特許事務所
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特許・実用新案としては主に、プラスチック・洗剤・機械・光学機器部品・建築・材料・日用品を取り扱っており、営業戦略的に価値ある特許取得を目指します。意匠としては、光学機器部品・清掃具関係を主に手がけております。商標については、ネーミングの段階からご相談に応じております。主要国の外国代理人とは密に連携しておりますので、緊急な案件にも速やかに対応できます。


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