健康保険~扶養家族の条件と間違いやすいポイント

健康保険は、社員本人が病気やケガをしたとき、亡くなったとき、
または出産したときに保険給付が行われますが、
扶養家族の病気・けが・死亡・出産についても保険給付が行われます。

この扶養家族の条件に該当すれば、保険料はかからず給付を受けることが出来ます。
加えて、配偶者が扶養家族の場合は国民年金第3号被保険者に該当し、
国民年金保険料を納めることなく加入しているものとして扱われます。

ここで、扶養家族になる条件と誤解しやすいポイントについて、改めて確認したいと思います。

 

1.扶養家族になる条件 

扶養家族は次の(1)および(2)の要件を満たす必要があります(75歳以上を除く)

(1)扶養家族の対象範囲は、①または②に該当する親族です。

①社員の祖父母(曽祖父母も)、父母、配偶者、子、孫、弟妹、兄姉が対象で、社員の収入により、その人の暮らしが成り立っている人(一緒に暮らしてなくても可)
②次の人で、同居して家計を共にし、社員の収入により暮らしが成り立っている人
・社員の三親等以内の親族(①以外)
・社員の未届の妻の父母および子(未届の妻が亡くなった後における父母および子)

(2)収入条件
収入条件は、家族と同居しているか否かによって異なります。

【家族が社員と同居している場合】 
年間の給与収入が130万円未満(60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、社員の年間収入の2分の1未満であること
なお、社員の年間給与収入の2分の1未満にあてはまらない場合でも、社員の年間収入を上回らず、世帯の生計の状況を果たしていると認められるときは、扶養家族となる場合があります。

【家族が社員と同居していない場合】 
年間の給与収入が130万円未満(60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、社員の援助による収入額より少ない

2.誤解しやすいポイント

◆給与収入130万円未満(または180万円未満)とは? 

◎ 給与収入が130万円未満であること。※給与所得ではありません。

◎ 過去の収入ではなく、扶養家族に該当する時点以降の年間の見込み収入額のことをいいます。例えば、退職した年の年収が130万円以上であっても、退職した後、収入がない場合は、退職日の翌日から扶養家族に該当します。

◎ 給与収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金、不動産所得や配当所得、事業所得も含まれます。子供であっても130万円以上の不動産収入等がある場合は、扶養家族にはなれません。

◎ 給与収入の場合、通勤交通費も含んだ給与額となります。※所得税法と違います。

◆その他のポイント

◎ 配偶者が扶養家族と認められた場合は、国民年金第3号被保険者として国民年金保険料はかかりませんが、子供は、扶養家族に認められても20歳以上は、国民年金保険料の支払い義務はあります。

◎ 退職後、失業給付を受給するまでの給付制限期間中(自己都合の場合3ヶ月程度)は、扶養家族になることが出来ます。失業給付の受給が開始され、日額3,612円以上の場合は扶養家族の対象外となりますので、削除の手続きが必要です。

投稿者プロフィール

社会保険労務士法人 ジンザイ
社会保険労務士法人 ジンザイ社会保険労務士
当事務所は、従業員1名から上場企業まで幅広い企業様とお取引をさせていただいています。各社の企業規模や業種特性に応じて、適切かつ柔軟に対応できるのが強みです。また、経営理念として、人事・労務・社会保険業務を通じて、経営的な視点からお客様企業の(1)より良い企業風土づくり、(2)より強い企業体質づくり、(3)より業績の向上、につながるよう日夜努めています。

100年ライフマネジメント

「100年ライフマネジメント」は、お客様の生活の中にある心配事を共に確認し、年代に応じた対策準備のお手伝いをする専属アドバイザー契約です。

月々1000円(税込)で専属アドバイザーには何度でもご相談いただけます。

ABOUTこの記事をかいた人

当事務所は、従業員1名から上場企業まで幅広い企業様とお取引をさせていただいています。各社の企業規模や業種特性に応じて、適切かつ柔軟に対応できるのが強みです。また、経営理念として、人事・労務・社会保険業務を通じて、経営的な視点からお客様企業の(1)より良い企業風土づくり、(2)より強い企業体質づくり、(3)より業績の向上、につながるよう日夜努めています。